プレスリリース

気候変動分野における途上国への資金支援に関する
比較研究報告を発表
―目標額達成も、配分については改善の余地あり―

2013年11月14日

地球環境戦略研究機関(IGES)気候変動とエネルギー領域は、米国・世界資源研究所(WRI)と英国・海外開発研究所(ODI)と協力し、気候変動分野における先進国の途上国支援に関する分析を行い、このたび共同研究報告「国際社会の気候資金動員 ~短期資金支援(FSF)実施期間からの教訓~」(Mobilising International Climate Finance: Lessons from the Fast-Start Finance Period )を取りまとめました。

本報告書の分析対象は、2010年から2012年までの3カ年で先進国から途上国締約国に対して300億米ドルを供与する目標が掲げられた「短期資金」(Fast-Start Finance: FSF)と呼ばれる支援です。日本はFSFの最大の供与国であり、3カ年で公的資金のみで135億米ドルを供与しています。

本報告書は、既に詳細分析を行っている英・米・日・独・ノルウェーの5カ国に加え、全FSF供与国に関する公開情報を収集し、資金の供与形態だけでなく、資金供与の報告形態・透明性についても分析・比較を行いました。主な分析結果は以下の通りです。

主な分析結果は以下の通りです。

先進国は、FSF実施期間にプレッジ額を超える350億米ドルの資金動員を報告。

2010年のカンクン合意では、FSFの緩和と適応へのバランスの良い配分が謳われていたが、実際にはFSF支援の約7割が排出量削減関連に充てられ、適応に特化した支援は2割程度だった。

2010年のカンクン合意では、特に適応支援については気候変動影響に脆弱な国々への優先的な配分が謳われていたが、実際のFSFの配分は、受取国の温室効果ガス排出量・気候変動に対する脆弱性と必ずしも関連性があるわけではなかった。

FSF支援の半分近くが融資・保証・保険の形で行われ、これらは緩和支援に向けられる傾向があった。

FSFの35%のみが直接の供与先を途上国政府としており、大部分は国際金融機関や二国間開発機関を通じた支援であった。

本報告書は、これら分析結果を基に、2020年までの途上国支援の在り方についての提言を行っています。

  報告書本文(英)
  報告書概要版(日)
  FSF案件データベース(英)
  報告書に関する関連ブログ(英)

執筆団体の概要

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES):持続可能な開発のための革新的な政策手法の開発及び環境対策の戦略づくりのための政策的・実践的研究を行うため、1998年に日本政府のイニシアティブと神奈川県の支援により設立された研究機関(本部、葉山)。約170人の専門家とスタッフを有する。 関連ページはこちら»

世界資源研究所(World Resources Institute :WRI):気候変動、エネルギー、食料、水、都市、交通の6つの重要課題に取り組む研究機関。米国に本部があるが、中国やインドなど5都市にも事務所を持つ。計300人以上の専門家とスタッフを有する。関連ページはこちら»

海外開発研究所(Overseas Development Institute :ODI):英国にある、国際開発と人道問題に取り組む200人以上の専門家とスタッフを抱える研究機関。具体的には、MDGs2015などの国際開発に関する議論、気候変動に配慮した開発、紛争地域における開発などをテーマとして扱っている。関連ページはこちら»

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