COP19 LCS-RNetイベント 

低炭素・レジリエントな社会への転換:
理論から現実へ

2013年7月に横浜で実施されたLCS-RNetの第5回年次会合の成果の報告に続き、低炭素転換に向けた各国の取り組みが紹介されました。さらに、LCS-RNetが将来取り扱うべき課題について議論が行われました。

日時 2013年11月18日(月) 11:30-13:00
場所 Room Wroclaw, National Stadium (ポーランド ワルシャワ)
主催・共催 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
独立行政法人国立環境研究所(NIES)
アジェンダ(講演者名を含む)
開会挨拶
白石順一, 環境省地球環境審議官 
「低炭素社会国際研究ネットワーク第5回年次会合の報告」
甲斐沼美紀子, NIES フェロー 
Sergio La Motta, ENEA(イタリア) 
特別報告「経済大転換期を低炭素・グリーン経済で乗り切るには」
CIRED(フランス) Jean-Charles Hourcade
ラウンドトーク
「低炭素転換に向けて各国の取組みから何が学べるか、今後取り組むべき共通の課題は何か」

  • 西岡秀三, LCS-RNet 事務局長
  • 甲斐沼美紀子, NIES フェロー
  • David Warrilow, UK Department of Energy and Climate Change (DECC)(イギリス)
  • Jean-Charles Hourcade, CIRED(フランス)
  • Antonio Navarra, Euro Mediterranean Centre for Climate Change (CMCC) / Fondazione Eni Enrico Mattei (FEEM)(イタリア)
  • Axel Michaelowa, Perspectives(スイス)
  • 藤野純一 NIES 主任研究員
閉会

発表・議事の概要
  • 冒頭、白石順一環境省地球環境審議官が開会挨拶を行い、最新の科学的知見を有効に政策に反映させるネットワークの活動に期待を示した。また、環境省として今後は適応も視野に入れた低炭素社会づくりが必要であることを述べた。
  • LCS-RNet第5回年次会合の主要メッセージとして、NIESの甲斐沼美紀子フェローと、イタリア・ENEAのSergio La Motta博士より、エネルギー多消費技術社会へのロックインを避け低炭素社会へ移行することはこれまでの人間社会の大きな転換であり、転換の舵を切るため知恵の結集が緊急に必要であること、また、今後の世界の排出量削減の多くが途上国でなされねばならないことを踏まえて、本ネットワークの活動が先進国・途上国共有の低炭素発展の道を論議する場として拡大されるべきことが述べられた。これに加えて、フランス・CIREDのJean-Charles Hourcade博士より、低炭素社会化・グリーン経済化を、経済危機脱出や持続可能な世界への大転換を進めるための一つの効果的な梃子として考えるべきとの見解が示された。

  • 低炭素転換に向けた各国の取り組みについて、David Warrilow氏が、英国は、温室効果ガス排出量を2050年までに1990年比で80%削減するという2008年気候変動法により低炭素社会への転換を規定しており、2008年から2027年まで5年ごと、四期分の「カーボン・バジェット」が策定されていることを紹介した。イタリアのAntonio Navarra博士は、低炭素社会の構築は社会構造の大転換を伴うものであり、現在の大学のシステムでその大転換を理解するのは困難を伴うため、より学際的なアプローチが必要であると述べた。スイスのAxel Michaelowa博士は、コベネフィット・アプローチでは低炭素社会構築に向けた社会・エネルギー構造の大転換を引き起こすには限界があること、また、政権交代などの政治変化のもとで、どのように長期的な低炭素社会を構築するのかも大きな課題であると述べた。NIESの藤野純一主任研究員は、アジア途上国における低炭素発展へ向けての取り組みやその速度には瞠目するものがあるとし、例えばマレーシア・イスカンダールでの低炭素ブループリントが数年で策定されていることに触れ、こうした蛙跳びの例に注目すべきと述べた。また、質疑応答で、低炭素発展・社会に舵を切った要因は何かとの問いに対し、David Warrilow氏は、エネルギー源の多様化を目指すエネルギー安全保障の観点を挙げつつ、第一に科学への信頼があることを挙げた。また、藤野主任研究員は、マレーシア・イスカンダールにおいて、国レベルの排出削減目標の設置、国及び市レベルでのリーダーシップ、経済特区としての機会、シンガポールに隣接する地理的特徴、地元大学と研究パートナーの存在等、様々な要因が重なっていると述べた。

  • 今後LCS-RNetが取り扱うべき論点として、LCS-RNet西岡秀三事務局長より、適応も踏まえた統合的な緩和策のありかた;経済不況化状況にある世界で、クリーン・テクノロジ-や低炭素・ゼロ炭素エネルギーの技術革新や投資を通じての低炭素投資の役割をどう捉えるか;シェールガスの出現など安価なエネルギー情勢変化に対応してどのように気候政策を強化するか;福島事故、シェールガス出現、再生可能エネルギーの進捗等によりエネルギーミックスの転換が各国で進むが、気候政策の観点からエネルギー政策にどのようにアプローチするか;低炭素社会への移行にあたり、都市によるボトムアップアプローチをいかに促進していくか;先進国と途上国との協力強化を如何に進めていくことができるか;需要側のエネルギー減少に寄与する資源効率向上をどのように政策に組みこむか、等の例が挙げられ、今後関係者間で十分な議論を行って論点を特定していくべきとの指摘がなされた。
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