自然資源・生態系サービス

インドネシアの生態系修復コンセッションセミナー
~ 民間企業による森林保全活動のパートナーとしてのポテンシャル ~

インドネシアと日本は長く友好関係にあり、2015年現在インドネシアに進出している民間企業は1,533社を数えます(JETRO 2017)。 インドネシアは豊かな熱帯雨林を持つ国として知られていますが、近年、経済活動や森林火災によって劣化・消滅が深刻な速度で進んでいます。

現在、国際社会では気候変動緩和(パリ協定)、生物多様性の保全(愛知ターゲット)、持続的開発目標(SDGs)の達成において民間企業の役割の重要性が指摘され、日本政府も民間企業の取り組みを通じた途上国の森林保全への貢献に関心を寄せています。インドネシアでは残された森林の維持のためにさまざまな取組がなされていますが、そのための新しい管理モデルや先進的技術の導入も期待されています。また、インドネシアで経済活動を行っている日本の民間企業にとって、森林保全は主要な社会貢献活動の一つとなっています。

IGESはこれまでの調査・研究とステークホルダーとの対話を通じて、日本企業が海外で効果的に森林保全活動を実施し、持続的な成果を挙げるためには、責任ある現地のパートナーと連携し、相手国政府の制度・政策と合致した活動を行うことが重要であると考えています。

インドネシアでは、「生態系修復コンセッション」という、民間企業やNGOが国有の天然生産林の一部を最長60年間借用し、木材生産やプランテーション開発以外の、生態系サービスや非木材林産物の生産などの経済活動を行うことができる制度が2004年に始まりました。熱帯雨林の保全や、持続可能な森林管理のための新規技術・ビジネスモデルの開発に興味がある海外の民間企業・団体にとっては、広大な天然林を保全する法的な権利を長期にわたって所持する生態系修復コンセッションのライセンス所有者は理想的なパートナーと言えます。実際いくつかの日本企業は、生態系修復コンセッションにおいて、カーボンクレジット獲得を目的としたREDD+のフィージビリティスタディ、ボランタリーカーボンクレジットの取引、森林モニタリング技術の開発などを行ってきました。生態系修復コンセッションは2016年までに合計623,075 haに対して、16ライセンスが発行されていますが、インドネシア政府はさらに多くの民間企業・団体からの投資を呼び込むべく、昨年から、制度の変更を検討しています。

インドネシアの森林保全や持続可能な管理に興味を持つ日本の民間企業・団体に対し、生態系修復コンセッションの制度を紹介し、将来の連携を検討していただくことを目的とし、本セミナーを開催しました。セミナーでは、インドネシア環境林業省の担当官が生態系修復コンセッションに関するインドネシア政府の方針や制度について紹介しました。また泥炭湿地や低地熱帯雨林の生態系修復コンセッションのライセンス所有企業が、それぞれのコンセッションにおける森林管理の状況、経営戦略、現在の課題、日本の民間企業・団体との協業の可能性について発表を行いました。


本セミナーについては駐日インドネシア大使館のウェッブサイトでも紹介されました。

日 時 2017年6月15日(木)9:30-17:00(受付開始 9:00~)
場 所 駐日インドネシア大使館1階ロビー アクセス
(東京都品川区東五反田5−2−9 目黒駅または五反田駅から徒歩10分)
共 催 地球環境戦略研究機関(IGES)
総合地球環境学研究所
協 賛 岡山大学
京都大学
後 援 駐日インドネシア大使館
使用言語 日本語・英語(同時通訳付)
参加者 68名

司会:山ノ下麻木乃(地球環境戦略研究機関 主任研究員)

プログラム
発表資料一括ダウンロード(圧縮zipファイル 35.4MB)
9:30 開会の挨拶
Arifin Tasrif(駐日インドネシア大使)
9:40 セミナーの目的
鮫島弘光(地球環境戦略研究機関 研究員)
PDF(1.2MB)
9:50 日本企業にとってのインドネシアの生態系修復コンセッションの意義
近松史郎 (Ecological Economic Solutions 取締役)
PDF(1.0MB)
10:10 生態系修復の政策発展(目標、進捗、課題)
Djohan Utama Perbatasari(インドネシア環境林業省 持続的生産林管理総局 生産林環境サービス・非木材林産物ビジネス 局長)
PDF(4.1MB)
10:30 休憩
10:50 生態系修復制度の発展
Happy Rezkiana(インドネシア環境林業省 持続的生産林管理総局 生態系修復・地域利用 課長)
PDF(3.7MB)
11:10 生態系修復の重要性―研究からのアプローチ
Ika Heriansyah Mahir(インドネシア環境林業省 研究開発イノベーション局 研究員)
PDF(4.4MB)
11:30 質疑応答
11:50 昼食
13:00 生態系修復コンセッションの森林管理、経営戦略、現在の課題、日本の民間企業・団体との協業の可能性
  • Agus Budi Utomo(Burung Indonesia 森林・生物多様性アドバイザー)・Lisman Sumardjani (Restorasi Ekosistem Indonesia / Hutan Harapan社 運営ディレクター)
  • Aldrianto Priadjati (Restorasi Habitat Orangutan Indonesia社 保全部長)
  • Dharsono Hartono (Rimba Makmur Utama社 取締役社長)
  • Mochammad Asari (Rimba Raya Conservation社 生態系修復テクニカルディレクター)
  • Purwadi Soeprihanto (Ekosistem Khatulistiwa Lestari社 シニアアドバイザー)


14:40 休憩
15:00 森林の持続的な利用と住民の生活向上 非木材林産物のポテンシャル
堀正彦(国際緑化推進センター 専務理事)
PDF(4.3MB)
15:20 質疑応答
16:50 閉会の挨拶
浜中裕徳(地球環境戦略研究機関 理事長)
写真

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