気候変動の影響への適応策と今後の課題
 - 日本の動向 -

2014年8月
1. これまでの状況及び日本の取り組み状況

今年3月に日本で初めて開催された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会で採択された第5次評価報告書第2作業部会報告書(気候変動の影響、適応、脆弱性)においても、気候変動の影響が自然生態系及び人間社会に影響を与えていることが示され、気候変動の影響への適応の必要性が高まっている。また、気候変動の適応は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の議題の主要議題となると同時に、英国、ドイツ、韓国などにおいて適応計画が策定されるなど、各国において気候変動の影響に対する取り組みが進められている。

このような状況を踏まえ、日本においても、2015年夏の適応計画策定に向け、昨年7月に中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会が立ち上げられ、今年3月に「日本における気候変動への影響の報告と今後の課題について(中間報告)」が策定され、国土交通省、農林水産省においても各分野の適応に関する検討が進められているところである。

2. 今後の取り組みと課題

来年夏の政府全体の適応計画を確実に実行するとともに、計画策定後は、地方への展開、民間事業者への展開、国際的な支援の3つが大きな柱になると考えられる。

1つ目の地方への展開について、気候変動の影響は、気候、地形、文化などにより異なるため、適応策の実施には地域の取り組みが必要不可欠である。これまでに、長野県、埼玉県、さらには環境省九州地方環境事務所などにおいて、モニタリングや地域の取り組みの取りまとめなどが行われている。これらの取り組みをさらに進めると同時に、地方における適応計画策定が重要となってくる。それにより、気候変動のリスクを統一的に把握することができるとともに、気候変動に対して強靭な地方のための対策を検討することができる。

2つ目の民間事業者について、気候変動の影響は、グローバル化、日本の人口減少や高齢化などといった中長期的に事業を行う上での自然環境、社会環境における競争条件の変化であるという視点が必要である。これはリスクにもなれば、逆に好機ともなり得る。この変化が事業に与える影響を予め検討・分析し、中長期的な事業計画に反映することが重要ではないだろうか。

最後の国際的な支援について、特に、アジア太平洋を中心とする途上国においては、気候変動に対して脆弱である一方、適応を実施するための体制・人材ともに不十分である。それらに対して、適応の制度、技術、科学的知見、人材育成を一体とした支援が求められる。日本としてもそのような支援を進めていくことが重要である。IGESにおいては、これまでもそのような支援を行っており、今後もこれらの支援を行っていくことを期待している。

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