スリランカで進む"廃棄物の堆肥化"

2014年4月

屋外に投棄されたごみ

スリランカでは、都市の廃棄物管理が環境問題として深刻化している。ここ数年、急速な都市化と経済成長、生産・消費パターンの変化によって廃棄物が急増し、1日に発生する廃棄物は6,400トンに達している。そして、廃棄物管理を担う自治体は、収集・処理の問題に直面している。回収される廃棄物は全体の約半分で、残りは路上に積み上げられたり投棄されている。また、回収された廃棄物についても、85%が屋外投棄されたり水田に放置されているため、環境や健康、社会に深刻な影響が及んでいる。

2002年に策定された国家廃棄物管理政策戦略では、「廃棄物の発生回避、不可避な廃棄物の削減・再利用・リサイクル、環境上適正な残留廃棄物処理」の重要性が強調されている。廃棄物の80%を占める有機廃棄物が高含水率・低発熱量で焼却に適していないことから、堆肥化が低コストで適切な廃棄物管理法とみなされている。

スリランカ政府は堆肥化を促す取り組みを進めてきている。堆肥を使用した有機食品の生産増加を目指した全国キャンペーンを立ち上げ、2003年には周辺諸国の中で初めて堆肥の品質基準を導入した。また、自治体が持続可能な廃棄物管理戦略を策定・実施できるように、国・地域レベルで資金・技術支援を行っている。2008年には、スリランカ環境省が、自治体による堆肥化工場の建設・運用を支援する目的で国家プログラム「ピリサル」を立ち上げた。同プログラムでは、職員に対する操業・保守に関する研修や、設計・ビジネス面での支援が行われている。さらに、地方政府・州議会省は、全国廃棄物管理支援センターを設立して9つの州へ技術支援を行うほか、関係省庁や国際機関との連携を図っている。


IGESのワークショップ

こうした政府の支援を受けながら、自治体は有機廃棄物管理戦略の一環として堆肥化施設の設立を進め、現在、70を超える中小規模の堆肥化工場が稼働している。一方で、堆肥化工場の大半は持続的な運営に関する課題を抱えており、IGESでは、国際協力機構(JICA)、スリランカ政府及び全国廃棄物管理支援センターと共同で、2014年3月に堆肥化に関する全国規模のワークショップを開催し、政府機関、自治体、NGOの関係者や専門家約100名が参加した。

ワークショップでは優良事例を共有したほか、主要な課題について活発な意見交換を行った。堆肥化のコベネフィット(相乗便益)を認識しながらも、現在の堆肥化プログラムでは混合廃棄物が使用されている上に、通常の廃棄物管理システムに堆肥化が含まれていないため、その可能性が十分発揮されていないとの指摘があった。また、堆肥化に適した土地や技術の選定、財政面での課題、品質管理やマーケティングを含めた運営費の問題も提起された。これらの課題を踏まえ、分別収集制度の導入、堆肥化を廃棄物管理戦略に組み込むこと、様々な関係者による協力・連携等が提言としてまとめられた。スリランカ政府と自治体はまた、堆肥化による経済的利益を理解した上で、利益の一部を廃棄物処理料として生産者に還元し、民間部門の参加を促す必要がある。さらに、堆肥の有機品質基準の認定手続きを簡素化すること、そして地域的・国際的な研究機関、学術機関、国際開発金融機関と協力した堆肥化の研究・能力開発プログラムも求められている。

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