ミャンマーは、緑の国であり続けられるか?

2013年12月

ミャンマー大使館にビザの申請に行ったところ、ロビーが埋まるほどの混雑だった。

待ち人数を数えてみると、40人。日本のミャンマー詣は引き続き健在のようである。

私が初めてミャンマーを訪れたのは、2012年の11月。第二回ミャンマーグリーン経済成長(GEGG)フォーラムに参加するためだった。このフォーラムの第三回目が、2013年11月20日~22日に行われた。このフォーラム、三日間に亘って行われ、一つ5時間のパラレルセッションが12ある。さらに、1日目と2日目の間に場所がネピドーからヤンゴンに移る。そしてとどめに、アジェンダが大変読みにくい。こんな状況であるから、会議の詳細に関して議論を追っていくことはほぼ不可能だ。

しかし、GEGGフォーラムには大きな特徴がある。それは、大統領、閣僚などのミャンマーの指導者層の参加だ。実際、会議はテイン・セイン大統領の挨拶で始まっており、他14人の閣僚の参加があった。軍隊色の強いミャンマー政府においては、トップの決定は絶大な影響力を持つ。本フォーラムの最も重要な目的は、議論の結論を出すことではなく、ミャンマーの指導者層に、「グリーン」の考えをしっかりと打ち込むことであろう。

第三回GEGGフォーラムのテーマは、「水・食料・エネルギーのネクサス」。Nexusという言葉は日本語訳が難しいが、ここでは相互依存性と解釈するのが最もしっくりくるだろう。例えば食料を生産するためにはエネルギーが必要であり、エネルギーを確保するためには水が必要であり、水を確保するためにはエネルギーが必要でありといった具合に、三者は切っても切れない関係にある。これらをバラバラに考えることに警鐘を鳴らすのがNexusの考えであり、国際的にも認知されている。

しかし、このネクサスがミャンマーに対して意味するところは明確ではない。ミャンマーには4つの大河が流れており、近隣諸国の中でも水資源が豊富である。豊富なガス田もあり、外貨の稼ぎ頭である。食料は豊かとまではいかないが、米の生産は盛んであり、肥沃な土地を持つ。すなわち、ミャンマーは資源には困っていないのである。これは、巨大な人口に見合うだけの水やエネルギー資源を持たない中国やインドとは大きく異なる。

では、なぜあえてネクサスがこの会議のテーマに選ばれたのか。これは、ミャンマーの縦割り行政に警鐘を鳴らす意図があったのではないか、と思う。ミャンマーにおいては、エネルギーは「エネルギー省」「電力省」「産業省」「科学技術省」等と細分化されており、一元的な管理がなされていない。水に関しては国家水資源委員会が存在するが、この決定権は弱い。ネクサスには、ミャンマーにおけるグリーン経済のためには省庁の壁を取り払った政府全体での取り組みが必要、というメッセージを含んでいたように思われる。

このような課題を抱えつつも、ミャンマーの環境関連の制度は確実に進歩している。環境保護森林省の設立、環境保護法の制定、環境アセスの細則の作成(作業中)等は、その最たるものであろう。その一方で、環境を扱う部署の予算、人的資源、技術力などが圧倒的に不足しており、これらの強化が求められることとなるだろう。無論これらを支える、税制度や教育制度の改革等も欠かせない。

2014年にはASEANの議長国として就任し2015年には総選挙を控えるミャンマー。改革の成果が試されることとなる。

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