着実に進むインドネシアの気候変動政策

2013年9月

インドネシアは土地利用変化及び林業分野を含めた場合には世界有数の温室効果ガス(GHG)排出国であり、気候変動対策を積極的に推進している。2009年9月、ユドヨノ大統領は、他のASEAN諸国に先立って「2020年までに対策を取らない場合(BAU)と比較して26%(国際的支援を得た場合には41%)のGHG排出量を削減する」という目標を表明した。

上記の削減目標に向けて、政府は「国家温室効果ガス排出削減行動計画(RAN-GRK)」を策定し、2011年9月に大統領令として公布した。同計画は、2020年までに実施する対策を指定しており、実施状況について、毎年のモニタリングと報告、定期的なレビューが行われる。また、各州政府がGHG排出削減行動計画を策定することを義務付け、既に各州における行動計画の策定が終了している(西パプア州を除く)。

個別のセクターでは、森林減少・劣化による排出削減(REDD+)が国内外から高い関心を集めている。政府は早くから林業省を中心としてREDD+に関する国内ルール作りに取り組んできたが、2010年5月、ノルウェーとの間で合意されたREDD+推進を目的とする10億ドルの資金協力が、政府の取り組みを再編・強化するきっかけになった。新たに結成されたREDD+タスクフォースは、天然林及び泥炭地の開発に係る新規の許可を2年間凍結する大統領令(いわゆる「モラトリアム」)の制定(2011年)、「REDD+国家戦略」の策定(2012年)を実現した。現在、政府内で「REDD+庁」を新設する作業が行われている。

また、適応分野でも国家行動計画の策定が進められている。さらに、国家気候変動評議会の設立、各省庁レベルでの気候変動担当部局の設置など、気候変動に取り組む政府の体制も強化されつつある。一例を挙げれば、財務省内に気候変動課題を扱うセンターが設立済みである。

インドネシアでは、大統領の政治的なリーダーシップとともに、援助機関と効果的に連携、支援を活用することで政策導入を積極的に進めている。IGESでは、2003年より環境省委託のCDMに係る人材育成事業(その後、市場メカニズムなどに係る支援へと展開)、MRVに係る調査・人材育成事業、気候政策の進捗調査、地方レベルでの協力事業(スラバヤなど)実施しており、また、国際協力機構(JICA)もローンや技術協力プロジェクトなど手厚い支援を行うなど、日本側の支援も多岐にわたる。インドネシア国際交渉で協議中の新しい課題にも積極的に対応しており、一例を挙げれば、国内の緩和対策の効果を測定・評価する制度の導入を進めている。以上のように、インドネシアの気候変動対策は着実に進んでおり、今後、国内での取り組みの成果を基に、インドネシアが国際標準に係る議論をリードしていく可能性もある。IGESでは、2013年5月にインドネシア気候変動政策セミナーをJICAと東京で開催し、インドネシア政府高官と最新の政策動向を紹介したところであるが、引き続き進捗に留意しつつ、特徴的な政策をタイムリーに報告していくこととしたい。

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