低炭素アジアを目指す研究ネットワーク

2013年5月

気候変動枠組条約は、2020年以降すべての温室効果ガス(GHG)排出国が参加する新たな国際枠組みを検討しています。全球的な気候の安定のためには先進国がGHG排出を大幅に削減していくべきですが、今後途上国からのGHG排出の増加が見込まれ、これへの対応が不可欠です。中でもアジアは成長が著しく、このままエネルギー多消費型発展を続けると2050年には世界の半分のGHG排出をすると予測され、それはまたこの地域の人々に重大な影響を与えることが懸念されます。一方で、現在の力強い投資を低炭素社会構築の方向に導くことができれば、アジアが低炭素発展において世界をリードするという選択肢も考えられます。私たちは今まさに岐路に立っているのです。

現在アジアの国々では、国際的な議論の動向を踏まえ、グリーン経済を基盤にした低炭素型の発展計画や戦略作りが着実に進められています。IGESに事務局をおく低炭素アジア研究ネットワーク(Low Carbon Asia Research Network: LoCARNet)は、国立環境研究所や京都大学等と、アジアの幾つかの国で研究者・研究機関による低炭素発展計画・戦略作りを支援しています。また、研究者と政策担当者等との対話の場を設置することで、其々の国が自国の力でGHGの削減可能性を定量的に示し、低炭素発展に向けた一層効率的な政策形成ができるようになることを企図した活動を実施しています。また、アジアの国々は経済発展段階や地理的状況において共通の部分もあるため、各国の研究者が各々の国の検討結果をひとところに持ち寄って「知識を共有」し、互いに学びあう仕組み(南南協力)を促進する活動も行っています。

さて、COP16以来、GHG削減に向けた途上国への資金援助が決まり、資金を効果的に気候安定化政策に向けるため、先進国・途上国が一体となって「知識を共有」し、相互に学ぼうとする活動が盛んになっています。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立されて4半世紀が経ち、科学者によって温暖化の進行と被害とが明らかになった今、どのようにGHGの発生を抑制し、また、変化に適応していくかの対策や行動に重点が移ってきています。例えば地方自治体による優良事例を他の都市に伝えたり、企業や市民社会等、より広範なステークホルダーとの実務的な協働を図ったりする動きは、こうした文脈から説明することができます。

こうした中で研究者集団としてのLoCARNetには、優良事例の集約・分析や、個々のステークホルダーを知識共有で結び付ける機能が求められています。

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