うちエコ診断の政策化と節電への活用

2012年2月

IGESが開発した「うちエコ診断(*1)」について実践的な研究を行っている視点から述べることとする。

うちエコ診断の政策化

 日本における民生家庭用のCO2排出割合は 2割程度であるものの、排出量が大幅な増加傾向にあるため、政策者としては無視できないものとなっている。

うちエコ診断は、2008年度のパイロット事業の実施後、兵庫県、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)及び環境省に提案し、ほぼそのまま政策化された。これは、提案の内容がCO2削減行動の促進効果が大きいこと及び政策担当者に面会し直接提案できたためであるが、政策化の際の重要な要因を分析すると、①家庭のCO2削減に新規政策が求められていた、②提案が非常に具体的ですぐ実施でき効果把握が可能、③政策担当者からの質問に充分回答できた、ということが挙げられる。

言い換えると、キーパーソンに対して①必要な時に、②必要なことを、③必要な分だけ、提供できたということが決定要因である。

現在は、韓国のキーパーソンに提案を行っている(韓国はGreen Growth法により、今後各部門のCO2削減政策を構築する必要性がある)。

節電への活用

日本では、原発事故の影響により、昨夏と今冬、家庭の節電が求められている。節電というと、日本人にはどうも「節約」や「ガマン」と捉えられるようである。基本は「省エネルギー」なのであるが、うちエコ診断は、節約やガマンではない効果的な対策を各家庭に具体的に提案できることから、関東地方を中心に節電診断として活用された。

2012年の夏はさらに厳しい節電対策が求められると思われ、うちエコ診断の重要性が増すと考えられる。

政策実施での課題

IGESの提案が政策化されたものの、事業実施者(主として全国にある地球温暖化防止活動推進センター)は作業として実施しているのみで、うちエコ診断の理念・考え方などが十分理解されていないおそれがある。この状況では形骸化してしまうため、IGESが培ってきた理念やノウハウをいかに実施者に浸透させるかが課題となっている。そのため実施者に対し研修を行うことでノウハウや技術移転の支援を行っている。

今後の展望

震災の影響で今後エネルギー政策が抜本的に見直される見通しであるが、節電・省エネルギー意識の高まりがあるうちに低エネルギー(低CO2排出)かつ、エコ・健康・安心なライフスタイルを作り上げてしまうことが出来ればと考えている。

また、これを日本モデルとして、IGESがターゲットとする途上国等に提案できれば良いという考えである。

先日、新聞記事に小宮山宏先生(*2)がリーダーの条件として、ミッション(使命)、パッション(情熱)、アクション(行動)の3つが必要とあったが、これは研究員にもあてはまる。私もIGES研究員として、この3つを持ち、アジアでの持続可能な発展に今後も取り組んでいきたい。

脚注

  1. 効果的なCO2削減対策を提案する事業。2010年9 月から兵庫県で全県的に展開しているほか、2011 年度からは環境省事業としても展開中。
  2. 元東京大学総長、三菱総合研究所理事長、工学博士。 専門は、化学システム工学、地球環境工学、知識の 構造化など。地球温暖化問題対策技術などを研究し ている。

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