“エネルギー以外の資源”にも注目
〜持続可能な資源管理〜

2011年11月

私が所属する持続可能な消費と生産(SCP)グループでは、気候変動とエネルギー問題だけではなく、物質資源の消費と3R(*1)分野の研究も進めており、「3Rイニシアティブ」、「国連環境計画(UNEP)持続可能な資源管理に関する国際パネル(*2)」、「経済協力開発機構(OECD)物質フローと資源生産性/持続可能な物質管理」等の国際的なイニシアティブに係わっています。

上記の取り組みでは、エネルギー等化石燃料だけではなく、金属資源等の非エネルギー資源(物質資源)も対象としています。これまでの国際的な環境政策の議論は、気候変動や低炭素社会一色の状況でしたが(言い過ぎかもしれませんが)、昨今、エネルギーだけではない天然資源全体への対応に向けた国際社会の動きも活発化していると感じています。

SCPグループが貢献し、今年9月にUNEPが出版した報告書「資源効率:アジア太平洋地域の経済と展望(REEO)(*3)」は、アジアの物質資源消費が2050年には3倍になるとの予測を示しました。低炭素技術を実用化するためのレアメタルや銅等への需要がさらに増えると考えられます。また、資源消費の増加は、廃棄物や有害な汚染物質の環境中へのさらなる排出を意味します。資源枯渇とともに資源ライフサイクル全体の環境影響管理(持続可能な資源管理)の重要性がさらに増すでしょう。

このような中、日本とEUが活発な動きを見せています。日本は、2003年より「循環型社会形成推進基本計画(*4)」にて資源生産性指標等を政策に活用し、物質資源の有効利用、資源採取や廃棄に伴う環境負荷を最小にする『循環型社会』の形成を推進してきました。一方、EUは今年、「A resource-efficient Europe - flagship initiative under the Europe 2020 strategy」を発表し、「資源利用を減らしつつEU経済を強化し、EUの競争力を高める大幅な革新や経済成長の新しい機会を作り出し、必須資源を確保し、気候変動と資源利用に伴う環境影響に対応する」ことを目指しています。

物質資源の場合、資源採掘、製造・提供、消費、リサイクル・廃棄の場所全てが異なることが多々あり、エネルギーに比べ動きが複雑です。一部の国だけが意欲的でも当然解決できません。政策対象分野も多岐にわたり、国の競争力にも影響するだけに、手を打ちにくいといえます。しかし、気がついた時には手遅れとか、ある国だけが得をしたという不公平な状況は避けたいところです。今後、国際的な議論を適正かつ公平に行うためにも、関連する環境統計やモニタリング指標が世界的に整備される必要があると感じています。先進国では統計や指標開発が進む一方、アジアなど今後も高い成長が見込まれる地域では未だ不十分です。IGESの一員として、アジアでの持続可能な資源管理に関する政策や指標の能力開発をテーマに今後も取り組んでいこうと思っています。

Reference

  1. 資源消費の削減、再利用、リサイクル
  2. 「 UNEP持続可能な資源管理に関する国際パネル(資源パネル)」は、2007年に設立された専門家グループであり、天然資源の持続可能な利用、特に天然資源がライフサイクル全体で環境に及ぼす影響に係わる政策についての、中立的で整合性のとれた権威ある科学的評価を提供し、経済成長を環境劣化から切り離す方法について理解を深めるための貢献を目指している。この活動は、「持続可能な消費と生産に関する10年枠組み(マラケシュプロセス)」や日本の提案により2004年のG8において合意された「3Rイニシアティブ」、「OECD持続可能な物質管理」等の環境製品/サービス政策や廃棄物管理に関する国際的な動きとも深く係わっている。
  3. Resource Efficiency: Economics and Outlook for Asia and the Pacific (REEO)
  4. 2008年に見直しが行われ、現在は第2次計画。2013年には、第3次計画が発表される見込み。

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