ENB解説コラム:総括

ダーバンプラットフォーム(ADP):
ワークストリーム2

2013年11月22日
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月19日 」
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月16日 」より引用
(GISPRIウェブサイト・Earth Negotiation Bulletin日本語版)
  • 両ワークストリームに関するADPオープンエンド協議 (11月19日)
    午前、Runge-Metzger共同議長は、引き続きテキスト草案に関する意見を提示するよう締約国に要請し、LMDCからの意見提出に感謝した。また、“希望のリストを述べる時間は終わった”とし、各国に意見が集約できる分野を特定するよう要請した。 …

    行動強化のための技術的な機会について、ナウル(AOSIS)(注:小島嶼国連合)が、2014年3月までに意見提出を求めるという期限の設定や、事務局に外部機関からのものを含めた技術データの統合のとりまとめを要請すること、2014年3月と6月の専門家会合開催、及び国連気候サミットとCOP20に至るまでに2014年中に閣僚会議を開催することを追加するよう提案し、EUがこれを支持した。 インドは、“技術的なプロセスに着手すること”に反対し、LMDC(注:フィリピン、中国、インド、ベネズエラ等から成る「同志途上国」グループ)の諸国とともに、条約の枠外での行動に言及することに警戒感を示した。EUは、ワルシャワ会議で、2015年に法的拘束力を有する合意に至り、緩和のギャップを埋めるべく“軌道に乗っている”ことを示すよう求めた。 …

    ブラジルは、多国間枠組みの中で準国家レベルの行動を詳細に説明することの難しさを強調した。シンガポールは、準国家レベルでの協働作業は、情報共有と学習という文脈で実施されるべきだと述べた。米国、日本、カナダは、緩和と適応に関する準国家レベルでの協働作業の促進を支持した。夕方も協議が続けられる。

    ワークストリーム2に関する協議 (11月16日)
    HFC(注:ハイドロフルオロカーボン)については、カナダが安全な代替物を開発するため市場に“強いシグナル”を送るべきだと強く要請した。インドとサウジアラビアは、HFCはUNFCCCの管轄に“属する”と強調した。EUは、モントリオール議定書と責任を共有するものだと強調した。 中国は、UNFCCCの諸原則はHFCの段階的廃止にも適用されるものだと述べた。

ダーバンプラットフォーム(ADP: The Ad Hoc Working Group on the Durban Platform for Enhanced Action)は、2020年以降の新しい国際枠組みについての合意を2015年までに作ることを目指すワークストリーム1と、2020年までの各国の取り組みの強化を目指すワークストリーム2の二つから成る。11月18日にADP共同議長が示したCOP決定案(テキスト草案)(*1)では、両ワークストリームが盛り込まれており、上記のENB19日付の記述はワークストリーム2に関するものである。

ここにある小島嶼国連合(AOSIS: Alliance of Small Island States)の提案は、まず、省エネルギーや再生可能エネルギー導入促進に関する各国の経験や優良事例の取り纏めや分析作業を行う技術的プロセスを行い、その後、そこからの分析成果を閣僚級会合で協議することで政治的関与を引き出すというもので、先進国、途上国を問わず、各国のエネルギーセクターでの取り組みの底上げを図るという意図がある。この提案は、多くの国々から支持を受けている。18日付COP決定案の中では、具体的なセクターやプロセスの明記はないものの、「機会の技術的発展」を進める取り組みとして盛り込まれた。これに対し、上記のようにインド等の同志途上国(LMDC: Like-Minded Developing Countries on Climate Change)は懸念を示している。LMDCは、気候変動問題に対する先進国の歴史的責任や先進国と途上国との間での取り組みの差異化を強く主張している、いわば途上国の中でも「原理主義」的な国々のグループである。こうした国々は、AOSIS提案が、先進国が率先的して果たすべき責務を希薄化させ、その一部を途上国側にシフトさせるものとして警戒している。

また、ハイドロフルオロカーボン(HFC)への取り組みに対する意見の相違も、同様な背景があると思われる。HFCは、モントリオール議定書のもとで規制されるオゾン層破壊物質の代替物として今後、急速に途上国での生産・消費の拡大が見込まれる強力な温室効果ガスである。これまで、米国やEU、ミクロネシアから、HFCを類似ガスの削減を進めてきたモントリオール議定書のもとで対策を講じる提案が出されてきた。しかし、この提案に対しても、LMDCは法的権限の問題(オゾン層破壊物資ではないHFCをモントリオール議定書で扱うことの問題や、UNFCCC/京都議定書ではモントリオール議定書で規制されるガス以外を対象としている点)を挙げるなどをして、反対している。この反対の背景には、AOSIS提案への懸念同様、HFC対策の強化を途上国への責任の押し付けとみなしていることにある。

その一方で、HFCをUNFCCC/京都議定書における排出算定・報告制度に残しつつ、モントリオール議定書の専門知識と制度を活用しHFCを段階的削減していくことが、2013年.9月のG20首脳宣言に含まれた。そのため、今次のCOP決定で、HFCの対策をモントリオール議定書に要請するなどの具体的な進展も期待された。しかし、現段階では、LMDC諸国は、HFCをモントリオール議定書の下で削減していくことへの反対姿勢を崩していない。

その後、ADP共同議長から示された20日付のCOP決定案では、「機会の技術的発展」に関するパラグラフは18日付決定案とほぼ同様の内容で、具体的な取り組みを示せないままとなっている(*2)。他方、HFCの取り組みに関するパラグラフは、意見対立があることを示す括弧で括られた。LMDCからの反対が根強いことを伺わせる。

2℃目標達成には、早急かつ大規模な排出削減の取り組みが求められており、今次COPで具体的な取り組みに合意するなどの成果を示すことで、今後のモメンタムを高めていく必要がある。今日、明日とあと二日残された時間的制限の中で、各国がどのような歩み寄りを見せ、具体的な対策・措置をCOP決定に盛り込むことができるかが注目される。

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