ENB解説コラム:資金

気候資金:2013年以降の資金支援に関する主要論点

2013年11月21日
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月14日」
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月15日」 より引用
(GISPRIウェブサイト・Earth Negotiation Bulletin日本語版)
  1. 「多数の途上国が次を求めた:新しく、追加的で、規模を拡大した資金;公的資金を気候資金の主要な資金源にすべき;支援のMRV;2015年合意の他の要素と同様の法的効力を有する資金の章;先進国の資金約束における集団目標及び個別目標;毎年1千億米ドルという目標を起点にする資金ロードマップ。さらに一部のものは、南南協力は自主的努力であると強調した。」(11月14日)
  2. 「…多数の途上国が特に次の点を求めた:具体的な成果及び1千億米ドルの目標に向けた中間目標または数値化された道筋の形での明確性と予測可能性。多数の先進国が効果性と可能にする環境が必要であると強調した。一部の先進国は、ワルシャワでは何の資金約束も行わないと指摘し、数値化された道筋を拒否し、2020年目標達成に向けた議論を強調した。大半のものは、2℃目標達成の努力の重要性、透明性及び信頼構築の重要性で意見が一致した。」(11月14日)
  3. 「先進国数か国は、資金の流れを進められるような環境の役割を強調した。日本と米国は、官民両方の投資にインセンティブを提供する必要があると強調し、米国は、LDCsでは公的資金がカギになると指摘、中所得国及び高所得国での民間資金の役割を強調した。さらに米国は、2015年合意の法的拘束力要素はまだ決められていないと述べた。カナダは、公的資金だけでは最貧国のニーズに対応するには不十分だろうと述べた。スイスは、SCFによる隔年レビューの役割、官民両方の資金のMRVの強化の必要性に焦点を当てた。同代表は、総額及びドナーベースに関する約束の強化を求めた。ノルウェーは、適応のための公的資金の必要性を強調し、締約国に対し、汚染者負担原則の遵守を確実にするため、炭素の価額化と費用効率の高い市場メカニズムの利用を求めた。バングラデシュは、予測可能な適応資金を強調した。」(11月14日)
  4. 「フィリピンは、損失と被害や資金関連の諸問題について前進が無いとして"深い憂慮"を示し…」(11月15日)
  5. 「ナウルは、AOSISの立場から、…資金については更なる取り組みが必要だと強調した。」(11月15日)

COP19では、先進国から途上国への資金支援強化に関する発言が多く見られる。また、去年のCOP18 での資金交渉は、2010年のCOP16における決定、特に「2020年までの、先進国全体で公的資金、民間資金、代替資金源を含む多様な資金源による年間1,000億米ドル(長期資金)の動員」を前提とした議論だったが、今年はそれを超えた議論も出てきている。以下、COP19第1週目の終盤に行われた主な資金議題の議論を紹介する。

  1. 2015年合意における資金の位置づけ:途上国は、先進国による資金供与も、緩和約束同様、2020年以降の新しい国際枠組みに関する2015年合意において法的拘束力を持たせることを主張。一方、米国等の先進国は、これに関し慎重な姿勢を見せている。
  2. 気候資金の負担分担:多くの途上国は、気候資金の負担は「先進国間」で分担されるべきで、緩和同様、各国別の資金供与目標も掲げるべきと主張。これに対し、米国等の先進国は、途上国を含めた全締約国が出来ることをするべきと反論。このような先進国の主張の背景には、近年途上国間の開発協力である南南協力が拡大していることがある。
  3. 目標:アフリカ・グループや、フィリピン、中国、インド等から成る同志途上国(LMDC: Like-Minded Developing Countries on Climate Change)は、長期資金の1,000億米ドルは気候資金の上限を示しているわけではなく、また、その数字自体だけではなく、2℃目標や気候変動による悪影響の対策のために必要な行動の文脈で議論されるべきであると主張している。また、気候資金の新たな目標として、アフリカ諸国やボリビアは「世界のGDPの1.5%の資金動員」を提案している。
  4. 公的・民間資金の役割分担:先進国は、気候資金における民間資金の役割やそのための途上国内の環境整備の重要性を強調している。これに対し途上国は、公的資金こそが気候資金において主要な役割を果たすべきとしている。また、民間資金を呼び込むための環境整備については、後発開発途上国(LDCs: Least Developed Countries)等の途上国は、途上国内の環境整備は各国様々であること等から議論に値しない等と反論している。
  5. 中期目標の設定:昨年のCOP18では「2013~2015年の期間、短期資金の支援額の少なくとも年平均額の供与に向けた、先進国による一層の努力の奨励」が決定しているが、2013~2020年の具体的な資金動員の目標額に関するCOP決定はない。このため、中国は、長期資金達成に向けて明確に定義された中期目標が必要であると主張しているが、これに対し一部先進国は、ワルシャワでの数値での資金約束を行わないとしている。
  6. 気候資金の定義:短期資金では、何を「気候資金」に含めるのか定義のないまま先進各国が自国の短期資金に計上したが、これを定義するべきという途上国の声が強い。中でも、先進国は、政府開発援助(ODA)を通じた気候分野の支援も短期資金として計上していたが、インド等の途上国は気候資金とODAは二重に計上されるべきではないと主張している。

尚、これらの議論以外にも、資金の計測・報告・立証(MRV: Measurement, Reporting and Verification)の強化、資金供与の予測可能性の確保、適応支援の強化、緑の気候基金(GCF: Green Climate Fund)の運用開始 等の様々な論点において各国で議論が交わされている(GCFの議論については次回のENB解説において取り上げる)。

本稿で紹介した6つの点は、総じて先進国の資金支援の増額を趣旨とするものが多い。また、途上国・先進国共に、各国の財政問題、国内政策に直結・関連する内容も多く、今回のCOPで各議題についてどこまで折り合いがつくのか先行きは不透明である。各国が国内事情を抱える中、どこまでグローバルな問題に真摯に向き合えるか。第二週目の閣僚級会議に期待したい。

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