ENB解説コラム:緩和

クリーン開発メカニズム(CDM)

2013年12月25日
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月18日」より引用
(GISPRIウェブサイト・Earth Negotiation Bulletin日本語版)

CDM(CMP):午後、参加者は、CDM関連問題に関する決定書草案について非公式に協議した。ガバナンスに関し、参加者は、CDM理事会(EB)と指定国家当局及び指定運用組織との相互作用強化を推奨する文書草案について議論した。

ベースラインとモニタリング手法及び追加性に関し、EBに次の要求をするかどうかで意見が分かれた:

登録後のモニタリング計画の有効審査を認めることで、モニタリング手法及び手順を簡素化する;活動プログラムでの極小規模活動に対するプロジェクト活動要素の範囲限度を排除する;

ポジティブリストの利用を拡大し、非追加性のリスクが低いプロジェクトタイプでの保守的なデフォルト数値を統合する;特に認証排出削減量(CERs)で期待される収入など、全てのコストと収入を含めることで資金追加性評価を改善する。非公式協議が続けられる。

クリーン開発メカニズム(CDM: Clean Development Mechanism)の運用が2005年に開始されて以来、およそ10年が経過した。CDMは、気候変動枠組条約非附属書Ⅰ国(途上国)において持続可能な開発及び温室効果ガス削減活動を促進させることを目的としており、2012年末までに5,382件のプロジェクトが登録された。また、1.13億トンのクレジット(正式には認証削減量(CER: Certified Emission Reduction)と呼ばれる)が発行され、途上国における削減活動を促してきた。

CDMの運営当初は、CDM理事会(EB: Executive Board)が定めた方法論の中で、温室効果ガス 削減量をモニタリングするために必要なパラメータやベースラインの設定を事業者が個別に設定し、検証機関がその妥当性を評価するボトム・アップ型のプロセスでプロジェクト登録を進めてきた。

近年では、モニタリングのためのデフォルト値等を提供する標準化ベースラインや小規模プロジェクト登録に対するポジティブリストの導入など、プロジェクト設計に必要となる様々な前提条件をCDM理事会 側から提供するトップ・ダウン型の制度運営もなされている。

クレジット供給の状況として、京都議定書第一約束期間(2005年~2012年) では、主に中国、インドなどの中所得国においてプロジェクト開発がなされてきた。第二約束期間(2013年~2020年)においては、先進国でも大きな需要先であった欧州排出量取引制度(EU ETS: The EU emissions trading system)において、第二約束期間以降は後発開発途上国(LDC: Least Developed Countries)の新規登録プロジェクトのみをオフセットクレジットの対象とする など、CDMプロジェクト登録件数が少ない国に対してプロジェクト開発を促す傾向にある。

こういった措置が反映されてか、第一約束期間において後発開発途上国 のCDMプロジェクトが占める割合は全体の登録プロジェクトに対して1%程度(*1)であったのに比べて、第二約束期間では全体の7%となっている。反対に、中国のプロジェクトは第一約束期間において46%だったものが、第二約束期間では23%と減少している。 他方、クレジットの需要については、第二約束期間において日本やニュージーランドが温室効果ガスの削減目標値を持たず、最大の需要元であるヨーロッパ諸国からのCERに対する需要も大幅に低下している。

このような厳しい状況の中、CDMの制度信頼性と汎用性を高めることにより、途上国における適切な緩和行動(NAMA: Nationally Appropriate Mitigation Actions)、新しい市場メカニズム、緑の気候基金(GCF: Green Climate Fund)といった他の枠組みの中においてCDMが活用されることが期待されつつ、交渉が進められている。

*1: 2012年末までにパブリックコメントを受け付けたプロジェクトに対する割合

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