ENB解説コラム:緩和

新しいメカニズム2

2013年11月25日
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月15日」
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月16日」より引用
(GISPRIウェブサイト・Earth Negotiation Bulletin日本語版)

各種アプローチのための枠組み:各種アプローチのための枠組みに関するCOP決定書草案についての非公式協議が午後、行われた。テキストに幾つかの括弧書きが挿入され、夕方にも非公式協議が続けられた。

市場メカニズム関連の様々な議題の交渉はすんなり進んでいる訳では無い。各種アプローチのための枠組みに関するテキストは多数の括弧書きで埋め尽くされており、CDMのモダリティーと手続きの修正案については交渉官らが合意点探しに苦闘している状況だ。(11月15日)

条約の下での市場及び非市場型メカニズム: SBSTAのMuyungi議長は、FVAや非市場型アプローチ及びNMMに関する小項目については何も合意が得られなかったと報告した。また、第2週目もCOPの下で作業を継続するか否かについて合意に至らなかったとし、手続きルールについてはSBSTA 40で審議される予定だと伝えた。(11月16日)

気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で、Framework  for Various Approaches (FVA)、 New Market-Based Mechanism (NMM)、Non-Market-Based Approaches (NMA)、の3つの新しいメカニズムが議論されている。しかし、11月16日付のENBにあるように、これらの新しいメカニズムに関連する議題について、COP19では進展を得ることが出来なかった。本稿では新しいメカニズムについて、議論された内容及び期待されていた成果について解説する。

COP19の初日である11月11日に開催されたサイドイベントの中では、UNFCCC事務局がこれらの新しいメカニズムに対する各国の意見をまとめ、COP19において期待される交渉の成果を発表した(表1を参照)。

FVAはアカウンティングに対する規則など取引可能な削減ユニットまたは削減効果に関する共通の枠組みを提供する役割を有する。COP19では、FVAの目的、共通認識、各国の取り組みの情報共有の方策、共通のルールや基準について一定の合意を得ることが期待されていた。

NMMはFVAの中の一つのメカニズムとして捉えられる。NMMの特徴として、NMMを運営する組織及び規則はCOPによって決定されること、京都議定書の下での市場メカニズム運営に際して得られた知見を基にした純削減量を達成するための頑健な基準、MRV(削減量の測定・報告・検証)への要求事項、削減量のアカウンティング方法の策定が挙げられる。また、NMMでは、途上国による適切な緩和行動(NAMA: Nationally Appropriate Mitigation Actions)や開発途上国における森林減少・劣化等による温室効果ガス排出量の削減(REDD+)への拡張も提案されている。COP19ではNMMのルールと手続きの核心部分が合意される最善シナリオから、NMMに関する議論を一時中断するシナリオまで幅広く想定されていた。

NMAは、各国の削減目標達成に向けた、削減ユニットを取引しない方策、すなわち、環境税や固定価格買取制度などの政策による温室効果ガス(GHG)削減手段に該当する。この考えは、昨年のドーハにてFVA、NMMに加えて採択された概念であり、COP19ではNMAの定義付けや適用範囲などについて共通の理解を得ることが期待されていた。

表1. 新しいメカニズムの概念とCOP19で期待されていた成果

  FVA NMM NMA
各仕組みに対して提案された役割または特徴
  • 条約の下での削減目標の達成に向けた、取引可能な削減ユニットまたは削減効果に関する共通の枠組みを提供
  • 市場メカニズムを含む削減ユニットを取引する仕組みの環境十全性を担保
  • 知識・情報を共有するプラットフォームの設立
  • 共通のアカウンティングルールの策定
  • 気候変動枠組条約の規律及び規範が適用される
  • NMMはFVAの下に位置づけられる
  • 純削減量を達成する頑健な基準、MRVへの要求事項
  • 広範囲の経済活動を対象とする
  • 途上国に対しても柔軟かつ責任のある削減活動を促す
  • NAMAやREDD+、その他のMRVプロセスとのリンクの可能性
  • 条約の下での削減目標の達成に向けた、取引を行わない削減ユニット及び市場メカニズムに頼らない、気候変動に対処する行動、活動、取り組みの総称
COP19において期待されていた成果
  • 目的と範囲
  • COP外での情報共有や報告の仕組み
  • 共通の基準やルール、ガイダンスの策定
  • 関連する組織編制やプロセスの具体化
交渉の成果として下記の7つのシナリオが示されていた。
  • シナリオ①:中心となるルールと手続きの策定
  • シナリオ②:詳細を協議する作業計画の策定
  • シナリオ③:名目の策定
  • シナリオ④:NMMに関するガイダンスの策定
  • シナリオ⑤:試験的導入とその情報共有
  • シナリオ⑥:試験的導入に対するキャパシティビルディング
  • シナリオ⑦:NMMに関する協議の一時中止
  • NMAの定義
  • NMAに関する具体的な取り組みなどの情報共有
  • NMA策定に関するガイドラインやツールなどに取り組む作業プラン

(UNFCCC事務局作成資料より引用)

COP19の会期中に、これらの3つの議題を議論するために、コンタクトグループとしては、合計135分しか与えられなかった。その他、非公式会合においても議論が続いたが、具体的な決定案を合意することができず、次回の補助機関会合(SBSTA40)に持ち越された。

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