ENB解説コラム:緩和

新しいメカニズム

2013年11月14日
「ワルシャワ会議ハイライト-2013年11月12日」より引用
(GISPRIウェブサイト・Earth Negotiation Bulletin日本語版)

廊下にて
一日の議題は盛り沢山で、クリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)の改革、非市場型アプローチや新市場メカニズム等を含めた市場メカニズムに関する非公式グループの会合も中に入っていた。しかし、多くの会合が多くの一致点を生み出す訳ではない。馴染みある京都メカニズムを新たなものと補完させるべく一生懸命なグループの傍らで、“なぜ新しいメカニズムが必要なのだ?—そんな要望はどこから来ているのか?”と疑問を抱いているグループもある。そもそも市場メカニズムが必要なのか?という疑問を呈する者たちも相変わらず存在している。それよりも国内でしっかり緩和措置を講じる方がいいという理屈だ。そこで唯一、皆が同意するようになった事は、特に新メカニズムに関して具体的な成果を出すには時間がかかるだろう、ということだった。

国際気候変動枠組みにおける市場メカニズムとは、国内での温室効果ガス(GHG)排出削減の費用が高い国が、その費用が安い国において削減策を実施することなどにより、効率的な排出削減目標の達成を促す仕組みである。国際排出量取引(IET)、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)の3つの仕組みを総称した京都メカニズムがその代表的なものである。京都議定書第一約束期間においては、2012年までに約130億トンもの排出削減量、すなわち京都クレジットが取引されたことから、各国の削減目標達成のために大きな役割を果たしてきたといえよう。

このような経験を基に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下における、さらなる地球規模の削減を促すメカニズムとして、新市場メカニズム(New market-based mechanism)と様々なアプローチ(Framework for various approaches)を含む新しいメカニズムが議論されている。新市場メカニズムには、EUが提唱する個々の産業セクターごとに全世界の企業がGHG削減に取り組むセクター別アプローチがある。日本が提唱する二国間クレジット制度は様々なアプローチに含まれる。

しかし、これらのメカニズムはあくまでも、削減目標を達成する補足的なメカニズムであることに留意したい。つまり、2013年以降、大半の国の削減目標が“自主的”であることから、その削減目標を達成するメカニズムが機能しないのではないかと疑問を呈する人々も少なくない。そのような状況の中、上記に示す11月12日のENBに記載される一幕が展開された。一方で、NGOなどが主催する新しいメカニズムに関するサイドイベントでは、拘束力のある削減目標がない状況下においても、削減を促すメカニズムを議論し、いち早く導入する必要性が指摘された。これは、比較的低い費用で削減目標を達成可能にする手段を2020年までに提供することで、各国のより高い削減目標の提示を促すためである。また、これらのメカニズムを2020年以降に迅速に運用するためにも、メカニズムに関する議論を今から十分に進めておくことが重要となる。

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