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  (2015年6月1-11日)

Climate Updates

多様化する国際協力:二国間クレジット制度(JCM)の役割

2015年6月8日

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における先進国と途上国間の国際協力の形態が多様化してきている。温室効果ガス(GHG)を削減するための市場を活用するアプローチについても同様である。本稿では、この多様化する国際協力の推進における、二国間クレジット制度(JCM)の役割について紹介したい。

長い間UNFCCCでは、京都議定書(1998年)の下で作られたクリーン開発メカニズム(CDM)が唯一、途上国が先進国と共同でGHGを削減し、その削減効果がクレジットとして取引される仕組みであった。ところが、バリ行動計画(2007年)及びカンクン合意(2010年)を経て、CDMとは別に、各国がそれぞれの事情を踏まえ、個別あるいは共同で開発できる‘様々なアプローチ’(FVA)に関する交渉が進められている。現在交渉で鍵となっているのは、特に、各国が個別あるいは共同で実施するアプローチがFVAとして位置づけられるための要件は何か、またFVAによる削減量をどう各国のUNFCCCにおける削減目標の達成にカウントできるかなどである。

このFVAの議論と並行して日本政府が推進しているのが、JCMである。JCMは、低炭素技術、システム、インフラや資金を日本がパートナーとなる途上国に提供してGHG削減のためのプロジェクトを行い、その削減量の一部を日本の削減目標の達成に使うという仕組みである。JCMは、CDMで定められている基準を満たしつつも、プロジェクトを実施するプロセスの簡素化を図ることで、より実質的なGHG削減の実現を目指している。また同時に、低炭素技術等の導入を進めることで、大気・水質汚染の改善、交通渋滞の緩和、雇用創出等を図り、途上国の持続可能な発展に寄与するとしている。2013年に本格始動して以降、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ等、現在までに14の途上国がJCMを実施することに合意し、JCMプロジェクトの形成を進めている。これまでのところ、インドネシアを中心に4つのJCMプロジェクトが登録され、GHGの削減に貢献している。

日本政府は、JCMがFVAにおいて含まれるべきアプローチであることを想定し、意見書を通じて、JCMの実施状況、経験等を事細かくUNFCCCに報告し、交渉を進めている。合わせてJCMウェブサイトを構築し、全ての国がJCMに関する最新情報にアクセスできる環境を整えている。現在までのところ、二国間で進める仕組みとしてはJCMが世界でも先行しているから、FVAの交渉上、JCMは貴重な‘生きた’事例と言える。例えば、JCMにおいては、ダブルカウンティングの防止を強化するためには、個々のアプローチだけでは全てに対応しきれず、UNFCCCのFVAとして共通のアカウンティング制度が必要であることを明らかにしている。地球規模でGHGを削減するためには、各国の事情を踏まえた様々なアプローチを適切に実施していくことが求められている。そのためには、FVAに関する国際交渉の着実な進展が無くてはならない。JCMのような個別アプローチから多くの優良事例や教訓が得られ、実質的な制度構築が実現することを期待したい。

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