気候変動とエネルギー

パリ協定における国際市場メカニズムと透明性に関する知見共有のためのラテンアメリカ地域合同ワークショップ

パリ協定第6条では、国別目標(NDC)の達成に向けた市場メカニズムの活用を規定しています。また同13条では、各国が目標達成に向けた進捗を定期的に報告するための透明性枠組みが設立されました。今後、各国が市場メカニズムの活用を含め、目標達成に向けた進捗を透明性を持って報告していくためには、パリ協定において有効な実施指針の策定が求められます。
こうした背景から、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、ラテンアメリカ及びカリビアン諸国の独立協会(AILAC)との協力のもと、環境省委託事業の一環として、2018年7月23-24日、コロンビア・ボゴタにて「パリ協定における国際市場メカニズムと透明性に関する知見共有のためのラテンアメリカ地域合同ワークショップ」を開催しました。本ワークショップでは、同地域における8カ国(チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ペルー)の政策担当者や交渉官、並びに他の専門家の方々をお招きし、二重計上の回避を含む市場メカニズムの活用の報告に関する実施指針の内容について、各参加者の理解や関心を共有しつつ、共通課題や対策等について、議論を行いました。

各国からの報告、専門家からのインプットおよびグループ・ディスカッションでの議論を踏まえ、パリ協定第6条の確固たるアカウンティングおよび13条の強化された透明性枠組み(ETF)に関する方法、手続きおよびガイドライン(MPG)について、次のキーメッセージと今後の国際プロセスに向けた提案をIGESとしてまとめました。

日 時 2018年 7月23日~24日
会 場 Holiday Inn Express & Suites, Carrera 7 #67-39, Bogotá, Colombia
主 催 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
ラテンアメリカ及びカリビアン諸国の独立協会(AILAC)
使用言語 英語
参加者数 25名
プログラム PDF(200KB 英語のみ)
サマリー

キーメッセージ:

  • 現在、2年ごとに最新の温室効果ガスインベントリーの報告を行うのが困難な国々、3、4年前のデータを用いて既に報告を行っている国々、あるいは近い将来そのようにすべく計画している国々等、各国様々な状況にある。さらにいくつかの国々は、2022年以降、2年前のデータを用いて2年ごとにインベントリーを報告する準備があるとしている。
  • すべての国において、NDCの策定を含む気候変動政策や行動の形成に要する制度体制を構築している。この体制のもと、NDCの実施に伴い、各国はETFに基づく国際的な報告も視野に記録と報告のためのシステムを導入しつつある。確固たるアカウンティングの実現のためには、NDCの達成に向けてどのように市場メカニズムの効果が活用されるかについての長期的な戦略が有用である。
  • すべての参加者は、二重計上の回避の重要性について賛同した。確固たるアカウンティングについては、国際的な市場メカニズムのもと、実施される排出削減プロジェクトの情報が必要である。国際的に移転されたクレジット量やタイミング、他国によって使用されたクレジット量やタイミング等に関する情報は、通常、登録簿には存在しているものの、必ずしもそれらの情報が公開されるとは限らない。
  • 新たな市場メカニズムの活用に関する報告を設計するにあたっては、既存の市場メカニズムの活用を通して得られた経験から学ぶことが重要である。いくつかの国においては、国際的な市場メカニズムの活用を含む測定・報告・検証(MRV)システムの構築および実施面で着実な実績をあげており、例えば、新たなIT技術の導入などについて、今後、効果的な道筋を模索するための情報・経験の共有や地域協力の強化に対する要望がある。

国際プロセスへの提案:

  • 確固たるアカウンティング:確固たるアカウンティングを確実に実施していくためには、情報の記録だけでなく、それらの情報を、透明性を持って報告することが必要である。したがって、情報の記録システムを開発することに加えて、国際的な市場メカニズムに関与する国およびメカニズムの管理者に対して、共通な様式といった報告形式を含む、報告に関する要求事項について、国際的に合意されるべきである。IGESの提案する報告様式案は、国内での情報の統合および各国による国際的な報告に活用できる。
  • 透明性枠組み:途上国が、透明性を段階的に向上できるシステムを作ることが重要である。そのシステムのもと、途上国が報告書を提出し、その後これに対するレビューを受けるというプロセスを繰り返すことで、改善を図ることができる。各国は、今後、第6条のアカウンティングに関するガイダンスおよび13条のMPGを優先的に議論することを期待するとした。
  • 必要な支援と実際に受けた支援の特定および報告:各国は、資金的な支援全般について一定程度の報告を行ってきているが、必要な支援と実際に受けた支援の報告で用いる通貨の統一性がないことや、気候変動に関する支援をその他の支援から区別する方法の欠如等の課題を抱えている。ETFのガイダンスは、必要な支援および実際に受けた支援の特定と報告に関する、より詳細なガイダンスを提供すべきである。これによって、各国の置かれた状況を透明性を持って把握できるだけでなく、NDCおよび長期目標の達成に向けて、必要な支援と実際に受けた支援の間の一貫性を強化することができる。

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