気候変動とエネルギー

低炭素技術移転・普及に関するバンコク地域ワークショップ

Bangkok Regional Workshop on Low Carbon Technology Transfer and Diffusion IGESとタイ・アジア工科大学院(AIT)は、日本国環境省の「平成26年度途上国向け低炭素技術イノベーション創出に向けたアジア地域における気候技術センター・ネットワークの強化のための調査等実施委託業務」の一環として、環境省及びタイ科学技術省技術イノベーション事務局の後援を受けて、2015年3月2日(月)~3日(火)に、タイ・バンコクのノボテル バンコク オン サイアムスクエアにて「低炭素技術移転・普及に関するバンコク地域ワークショップ」を開催しました。

日程 2015年3月2日-3日
場所 ノボテル バンコク オン サイアムスクエア(タイ・バンコク)
主催 IGES、タイ・アジア工科大学院(AIT)
共催 日本国環境省、タイ科学技術省国立科学技術イノベーション事務局(STI)
関連資料 アジェンダ (36KB)
発表資料 » 英語報告ページをご参照ください
サマリー

本ワークショップには、日本及びアジア8カ国より、気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の各国窓口である国家指定組織(NDE)あるいはNDE候補の政府担当者や国際機関、研究機関、金融機関、民間企業などから約50名が出席した。IGESからは葉山本部、関西研究センター、バンコク地域センターより研究員やスタッフが出席した。

ワークショップの主な目的は、途上国における低炭素技術の移転や普及に関する状況及びニーズの把握、CTCNへの技術支援要請案の作成に関する各国の経験の共有、低炭素技術の適用及び普及の促進に向けた技術の現地化やリノベーション要素(変更・改善点)の検討、資金支援・金融機関との技術開発・移転に関するリンク(連携)の検討であった。

ワークショップの第一日目は、環境省地球環境局長の梶原成元氏、タイ科学技術省国立科学技術イノベーション事務局(STI)の副事務局長Somchai Chatratana氏、及びAIT副学長Sivanappan Kumar氏からの挨拶により開会した。低炭素技術の移転・普及の促進と2℃目標に対する排出ギャップの克服にCTCNが果たす重要な役割について言及があった。開会挨拶後、主にCTCNの現状、途上国における技術ニーズ、技術移転及び普及における課題について議論が行われた。

国連環境計画アジア太平洋地域事務所(UNEP-ROAP)のRajiv Garg氏は、CTCNは技術スキームであり、対象とする地域や技術、セクター、連携する資金メカニズムについて、中立の立場をとっていると説明した。また、CTCNは、技術サイクルの全段階における支援が可能であり、ハードウェアのみならず、ソフトウェアや組織制度、能力構築支援も可能であると述べた。CTCNへの要請については、以下が要件であるとの説明があった。支援が、(1)気候変動影響への耐性(強靭性)の向上あるいは、温室効果ガスの排出削減につながり、国家計画に沿ったものとなっているか、(2)国内の能力向上につながるか、(3)モニター及び評価される体制が当該国に整備されているか。

アジアの8カ国(バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、スリランカ、タイ、ベトナム)からの参加者は、技術移転・普及に関する経験を共有したほか、CTCNへの支援要請案を紹介した。途上国からは、幅広い技術ニーズがあることや、CTCNへの支援要請準備の状況が異なることも示された。既に要請案を作成済みあるいは協議中の国もあれば、要請を提出する前提として必要なNDEが未登録の国もあった。

参加者は、特に事業の中で関心が寄せられていた廃棄物管理、ヒートポンプ、LED、再生可能エネルギーの4つの技術グループに分かれてCTCNへの技術支援要請案についてグループディスカッションを行った。CTCNの要件に適合する要請案を作成するには、どのような改善が必要か、資金スキームとどのように連携させるか、実施の際の課題は何かなどを議論した。主な課題として、低炭素技術の初期投資の高さ、必要な政策や規制の未整備、能力や理解の不十分さ、資金アクセスの困難さが挙げられた。

「世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(JASE-World)」、パナソニック、加美電機からの参加者より、省エネ製品や活動について紹介があった。また、日本、アジア、世界におけるエネルギー消費の傾向・予測について発表があった。LED、ヒートポンプ、太陽光発電、蓄電システム、省エネの家電製品など日本の低炭素技術の紹介があった。省エネ製品や技術の導入により、途上国における社会・経済・環境ニーズの3つに応えることが可能であるとの議論があった。

二日目の議論は、CTCNへの技術支援要請と資金スキームをどのようにマッチさせるか、また、研究機関がどのようにNDEの技術移転・普及の実施を支援することが可能かという点について議論を行った。JICA、ADB、三菱UFJモルガン・スタンレーからの参加者は二国間、多国間、民間の資金スキームについて紹介を行った。現在の気候資金の仕組みは、初期投資を重視し、当該国の情報不足、プロジェクトファイナンスや長期資金の仕組みの欠如、高い利息、低いエネルギーコスト(電気代)などが気候資金の実施にマイナスの影響を与えているとの指摘があった。特に、技術の提供者や利用者と、金融機関などの資金供与機関とのマッチングが行われていないことが最も大きな課題のひとつである。資金供与機関はバラバラに資金支援を行い、シナジーがなく、数百もの実証事業(F/S)がその後のフォローアップなく実施されているとの指摘があった。IGESとTERIのインドにおける低炭素技術の協力事業にみられるように、研究機関が組織や需要とニーズのマッチングを行える可能性について示唆された。

研究機関による、NDEの技術移転実施の支援に関連して、技術や製品のカスタマイズ、リノベーションを行うには、需要側である途上国における現地状況の情報が重要であることが指摘された。このような情報や現地でのオペレーションや成功事例に関する情報を収集し、NDEからアクセスしやすい制度・仕組みを構築することが必要である。また気候変動交渉において、CTCNのネットワークメンバーの拡大や関係ステークホルダーの取り組みの促進が重要である。民間企業の巻き込みや資金メカニズムとの連携などが課題として残る中、NGOやNPO、研究機関によるCTCNの取り組みを支える役割は重要となる可能性がある。

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