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■IGES-ISEP共同プロジェクト
-脱原発・自然エネルギー普及シナリオの経済影響評価-
2011年7月21日

財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)

主要メッセージ

  • 脱原発という前提の下では、自然エネルギー普及シナリオの方が化石燃料依存シナリオよりも経済合理的である。
  • 意欲的なGHG排出削減を目指すには、自然エネルギー全量固定価格買い取り制度(FIT)、排出量取引制度、炭素税、規制緩和などの自然エネルギー導入および省エネ促進策が必要である。

研究目的
日本のエネルギー供給において、脱原発促進と自然エネルギー導入がおよぼす経済的影響を、4つのエネルギー・シナリオと、技術的可能性、供給コスト、環境影響といった3つの観点から評価する。


4つのエネルギー・シナリオ

  1. レファレンス・シナリオ(REF):福島原発事故以前のエネルギー需給見通しを維持する。
  2. 長期的な脱原発・化石燃料依存シナリオ(SFF-LF):2050年までに原子力発電による電力供給量の割合を3段階で減らしていき、化石燃料依存に転換する。
  3. 短期的な脱原発・化石燃料依存シナリオ(SFF-SR):全ての原子力発電による電力供給を2015年までに廃止し、化石燃料依存に転換する。
  4. 脱原発・自然エネルギー普及シナリオ(REN):脱原発を段階的に実施すると共に自然エネルギー導入政策を実施し、2050年までにエネルギー総供給量の15%を風力エネルギー、25%を太陽エネルギーで賄う。

基本的な前提

本モデル分析では、国際エネルギー機関(IEA)などの将来GDP、人口、燃料価格予測といった基礎データをベースとし、日本の最終エネルギー需要が変わらず、自然エネルギー全量固定価格買い取り制度(FIT)や排出量取引制度などの具体的なエネルギー・気候政策も導入されないという状況を前提とした場合の経済影響評価を行なっている。

図1.一次エネルギー予想価格


結果
モデル分析の暫定的な結果として、以下の4つが導かれた。

1. 電力供給ポートフォリオへの影響:自然エネルギー導入に関する具体的な政策が実施されなければ、液化天然ガス(LNG)、天然ガス、石油といった化石燃料が日本の電力生産における主要電力源として存在し続ける。

2. エネルギー供給システムコストへの影響:図2は各シナリオのトータル・コストの正味現在価値を示している。原子力を撤廃した場合、レファレンス・シナリオと比較して追加的費用が発生する。ただし、脱原発・自然エネルギー普及シナリオ(REN)では、燃料などの変動費が削減されるため日本経済への影響を低く抑えることができる。

※クリックして図を拡大


また、国内雇用や経済的効果などを考慮すると、脱原発・自然エネルギー普及シナリオの方が、日本の経済に対するネガティブな影響をより大きく緩和できる。

3. 市場における電力生産コストと電力小売価格:脱原発・自然エネルギー普及シナリオを含む全ての脱原発シナリオにおいて、短期的に電力小売価格が上昇する可能性がある。しかし、脱原発・自然エネルギー普及シナリオでは、2050年までの電力小売価格の上昇を低く抑えることができる。

4. 温室効果ガス(GHG)排出:省エネ政策と自然エネルギー普及政策が導入されなければ、CO2排出削減がすすまない。しかしながら、脱原発・自然エネルギー普及シナリオでは、自然エネルギー供給の割合が一定値を超える2040年以降、レファレンス・シナリオに比べて排出削減量が増加する。

 

【本プレスリリースに係る問合わせ先】
IGES経済と環境グループ・主任研究員:アニンディヤ・バタチャリヤ(Anindya Bhattacharya)
Email: ee-info@iges.or.jp
IGES気候変動グループ・ディレクター / 東北大学教授:明日香寿川 (Jusen Asuka)
メールアドレス:cc-info@iges.or.jp
IGES経済と環境グループ, ディレクター:
小嶋 公史 (Satoshi Kojima)
Email: ee-info@iges.or.jp

IGES 広報担当:土井 恵美子
Email: iges@iges.or.jp
Tel: 046-855-3720

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