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■COP15及びCMP5におけるIGESの成果報告
2009年12月22日
財団法人地球環境戦略研究機関(IGES、神奈川県葉山町 理事長 浜中裕徳)は、デンマーク・コペンハーゲンでの国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)及び京都議定書第5回締約国会合(CMP5)(2009年12月7日~18日)において、これまで実施してきた研究結果に基づき、アジアでの低炭素社会の構築、CDM、適応問題等、アジア途上国を含む地球規模の次期枠組みを構築する上で重要な課題について、サイドイベント等を通じて政策提言及び意見交換を行いました。

1.COP15総括

COP15は、将来気候枠組みづくりについての「コペンハーゲン合意」を承認するという形で閉幕した。同合意には、地球の気温上昇を2度以内に抑えるために世界全体の排出量を大幅に削減することの必要性や、途上国における温暖化対策支援に向けた具体的な拠出金額が明記された。その一方で、中期・長期の削減目標について、先進国と途上国ともに具体的な数値への言及がないなど、対立の大きい課題は先送りとなり、今後の交渉にゆだねられることとなった。

IGESは、今後これらの課題や枠組みの制度設計にあたって、より積極的に政策提言を行っていく。


2.COP15でのIGESの活動概要

1) UNFCCC公式サイドイベント「低炭素アジア:ビジョンと行動」の開催と発表
アジアにおけるCDMプロジェクトの特徴とクレジット供給見通しの予測について
中国及びインドで実施した次期枠組みに関する非公式政策対話から得られたメッセージについて
低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)の活動について




2) 「気候変動適応のための情報及び知識の必要性に関するハイレベル円卓会議」での発表

世界適応ネットワーク及びアジア太平洋地域適応ネットワークへの貢献について


3) サイドイベント「REDDの制度設計と民間部門の参加」の開催と発表

議論で提示された主な課題及び施策について


4) サイドイベント「LCS-RNet: 国際研究ネットワークが示す低炭素社会への道筋」の実施

世界の研究者が低炭素社会への道筋を提示
本プレスリリース全文 217KB
 

【本件に関する問合せ先】

IGES 広報担当:城戸めぐみ
Email: kido@iges.or.jp

(財)地球環境戦略研究機関(IGES)
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3720 / Fax: 046-855-3709


資料1
UNFCCC公式サイドイベント「低炭素アジア:ビジョンと行動」の開催と発表

本サイドイベントでは、地球温暖化防止の鍵を握る『アジアにおける低炭素型発展の可能性』をテーマに、各専門家の最新の見解に対して活発な議論が行われた。会場には200名を超える専門家、NGO、報道関係者等が参加し、今回のCOP期間中でも重要な議題のひとつとして取り上げられている同課題に対する関心の高さが示された。

日時
  2009年12月10日(木) 14:45-16:15
会場
  COP会場(ベラセンター)Halfdan Rasmussen会議室
主催
  地球環境戦略研究機関(IGES)、国立環境研究所(NIES)、全国地球温暖化防止活動推進センター (JCCCA)

本サイドイベントにおいて、IGESより以下を発表し、議論を行った。

1. アジアにおけるCDMプロジェクトの特徴とクレジット供給見通しの予測について
(IGESのCDMプロジェクトデータベースの分析結果より)
国連に登録されたCDMプロジェクトのうち85%以上がアジアのプロジェクトであり、アジアが世界のCDMの中心となっている。
アジアにおけるCDMプロジェクトの登録手続きが特に長期化する一方で、プロジェクトから発行されるクレジットの発行率は他の地域と比べて比較的高い。

2. 本年、中国・北京(9月)及びインド・ニューデリー(10月)でIGESが実施した次期枠組みに関する非公式政策対話から得られた重要なメッセージについて
低炭素社会を実現する政策オプションを特定するために、低炭素型発展モデルを都市レベルにおいて構築することが必要である。
主要アジア諸国は、国別の緩和行動(NAMAs)の一連の仕組みを次期枠組みの下での新たな約束の基礎として受け入れる可能性があるが、他方、排出量削減義務については受け入れないであろう。
アジアの途上国における計測・報告・検証可能(MRV)な緩和行動を実現するために、能力強化の面での支援が重要である。

3. 低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet:2008年のG8環境大臣会合の合意により設立され、様々な研究機関や専門家が参加)の活動について
低炭素社会に到達するためには、異なる分野間の知識を共有していくことが重要であり、LCS-RNetの活動においても分野間の横断的な意見交換を促進することが主要な目的のひとつとなっている。
第1回年次会合(2009年10月、イタリア・ボローニャ)では、低炭素社会実現に向けた重要な課題として、中長期目標、経済的側面、技術と公共政策の役割、及びライフスタイルの変更に焦点を当て議論が行われた。
2009年4月にシラクサで開催されたG8環境大臣会合の議長サマリーで、LCS-RNetからの定期的な報告が求められており、国際的な政策形成プロセスへのインプットを行っていくことが期待されている。

資料2
「気候変動適応のための情報及び知識の必要性に関するハイレベル円卓会議」での発表

本円卓会議では、COP閣僚級代表者により、アジア太平洋地域における適応政策の重要性及び効果的な実施に向けた国際的な連携強化の必要性が再確認された。日本政府からは、適応支援に積極的に貢献していくこと、小沢環境大臣が世界適応ネットワークの共同議長に就任すること等が表明された。

IGESは、今年10月にIGESが国連環境計画アジア太平洋地域資源センター(UNEP RRC.AP)と共同でバンコクにて立ち上げた「アジア太平洋地域適応ネットワーク」を通じて、日本環境省と連携しつつ、アジア太平洋地域における適応策促進の取り組みを支援していく旨を表明した。

日時
  2009年12月15日(火) 13:00~15:00
会場
  COP会場(ベラセンター) Astrid Henning-Jensen会議室
主催
  国連環境計画(UNEP)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、世界気象機関(WMO)
出席者
  モルジブ大統領、タンザニア環境大臣、国連環境計画(UNEP)事務局次長、WMO事務局長、フィンランド及びスペイン政府関係者及び、世界銀行、アフリカ開発銀行、ストックホルム環境研究所(SEI)等国際開発・研究機関の代表者

浜中裕徳IGES理事長発表要旨
アジア太平洋地域は、水資源、農業、人間の健康、特に沿岸・低平地域におけるインフラなどについて、気候変動の影響による脆弱性が非常に高く、域内の国々の能力構築を行う国際的及び地域的な協働が必要である。
このような背景を踏まえて、2009年10月にアジア太平洋地域適応ネットワークが設立された。
同ネットワークは、域内に適した適応に関する知見や技術の共有化や、適応策の試験的な実施、優良事例の提示・普及など多様な目的を有している。
IGESは、UNEP RRC.APと共同で同地域適応ネットワークの運営を行い、適切な運営管理と技術的な支援をするための人材派遣を行う。
さらに、IGESは、国内外の様々な研究機関とともに実施している適応に関する政策研究から得られた成果を、同地域ネットワークを通じて域内の政府や研究機関に対して積極的にインプットしていきたい。
今後、UNEP、日本国環境省、ストックホルム環境研究所をはじめとする国際的な研究機関や開発機関等、様々なパートナーとともに協力の強化を図っていく。

資料3
COP15サイドイベント「REDDの制度設計と民間部門の参加」の開催

本サイドイベントでは、REDD(途上国における森林減少及び劣化による排出削減)に関し、次期枠組みへの民間部門の関与を促進するための政策的課題及び、効果的な取組みを促進するための政策的・制度的枠組みの構築を促す施策について、活発な議論が行われた。

日時
  2009年12月15日(火) 18:00~20:00
会場
  COP会場(ベラセンター) Monnet会議室
主催
  アジア欧州財団(ASEF)―アジア欧州環境フォーラム(ENVForum)、スロベニア政府、地球環境戦略研究機関(IGES)、他
発表者
  スロベニア環境省、ハンガリー政府、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、ASEF、アジア開発銀行、気候フォーカス(オランダ)、WWWインドネシア、IGESの各代表者

提示された主な課題・施策
“REDD++(プラス・プラス)”(森林だけでなく、森林以外の生態系における炭素管理)制度を効果的に実施するために、炭素計測に係る監視、報告、検証などの技術的な課題に関する詳細を詰めなければならない。
国際開発機関や政府等からの公的資金のみならず、民間資金の活用を促進することが重要である。
CO2削減、生態系保全及び住民の生計の各便益が最適な均衡を保つガイドラインを構築することが肝要である。
アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)ショーケース・プログラムなどの仕組みを通じて、“REDD++”等のパイロット事業の支援を行うことが必須である。
アジア欧州財団(ASEF)が主宰するアジア欧州環境フォーラム(ENVForum)などを通じた地域的、国際的な多数の利害関係者を交えた政策対話を進めることは重要である。
  *持続可能な開発に関する先導的なプロジェクトについて、活動を促進する資金の提供や内容の分析・助言を行うとともに、成功事例の普及等を支援するプログラム

資料4
世界の研究者が低炭素社会への道筋を提示:
COP15サイドイベント「LCS-RNet: 国際研究ネットワークが示す低炭素社会への道筋」の実施


本サイドイベントでは、IGESが事務局を務める低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)の第1回年次会合(2009 年10 月12 日~13 日、イタリア・ボローニャ)で議論された重要な課題として、1)低炭素世界の実現に向けた中長期目標、2)低炭素社会の経済的側面、3)技術と政策、4)ライフスタイル変化が果たす役割等を紹介するとともに、日本、インド、中国、フランスの同ネットワーク参加機関より研究者が各国の低炭素社会モデル研究や政策に関する発表を行った。

本国際研究ネットワークは、2008年に神戸で開催されたG8環境大臣会合で日本国が提案し、参加各国の合意により、本年4月に発足したものである。次回LCS-RNetの会合は2010年9月21~22日にドイツ・ベルリンにおいて予定されている。

日時
  2009年12月16日(水) 13:00~14:30
会場
  COP会場(ベラセンター) EUパビリオン、Monnet会議室
主催
  イタリア環境・国土・海洋省

「LCS-RNet: 国際研究ネットワークが示す低炭素社会への道筋」での発表要旨
○Corrado Clini(イタリア環境・国土・海洋省、Director)
削減目標、金融メカニズムの規則、技術移転協力といったテーマに関して、研究者の立場から議論するプラットフォームの役割を果たすLCS-RNetは、政策決定者が科学に基づく政策を作るために、まさに今必要とされている。

○日本:甲斐沼美紀子(国立環境研究所)
日本の低炭素社会モデルによる2050年までの温室効果ガス70%~80%削減シナリオと実現のための具体的な12の方策を提示。
革新的な技術と技術を普及させる政策の両輪が必要である。

○インド:P.R. Shukla(インド経営研究所)
気候変動対策中心のパラダイムに対する懐疑論は、持続可能な開発も同時に目指すことで克服される。
都市ごとの行動計画を立てることが有効な方策である。
低炭素技術のマッピングと技術普及の障壁を取り除く金融メカニズムが重要である。





○中国:Jiang Kejun(中国エネルギー研究所)

中国の2050年までの低炭素シナリオ研究を紹介し、カギとなる技術がいつどこで導入されるのかについての技術ロードマップや省エネ基準及び助成金などを含む政策ロードマップを説明。

○フランス:Jean-Pierre Tabet(ADEME)
低炭素社会到達にはアイデアと技術と行動変化が必要である。

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