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■IGESが将来枠組みに向けたアジアの声を集大成
- UNFCCC COP12及びCOP/MOP2でサイドイベントを開催
2006年11月14日

(財)地球環境戦略研究機関(IGES、神奈川県葉山町、理事長 森島昭夫)は、ケニア・ナイロビで開催中の国連気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)で2つのサイドイベントを開催し、IGESがアジア諸国を対象に実施してきたCDM/JI(クリーン開発メカニズム及び共同実施)に関する途上国等人材育成支援事業の経験から、アジアにおける現在のCDMの実施状況やCDMを各国の持続可能な開発と結びつける取り組み例を報告するとともに、「2013年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話」に基づく報告書『Asian Aspirations for Climate Regime Beyond 2012(将来枠組みへのアジアの期待)』を発表しました。


1.国連気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)のサイドイベントについて

11月8日(現地時間)に開催したサイドイベント「持続可能な開発に向けたCDM(CDM for Sustainable Development: Dream or Reality?)」には、各国政府交渉担当官や有識者等約240名が参加しました。このサイドイベントでは、アンチャ・スリニヴァサン気候政策プロジェクト上席研究員より、IGESがアジア諸国を対象に実施してきたCDM/JIに関する途上国等人材育成支援事業の経験に基づき、アジアにおける現在のCDMの実施状況が示され、今のところ、CDMが、その目的のひとつである開発途上国の持続可能な開発に役立つ運用がなされていないこと、そのための制度的改革が望まれていることなどが報告されました。タンザニア副大統領府のリチャード・ムユンギ氏は、アフリカにおけるCDMへの取り組みを紹介し、アフリカでは、CDMに対する理解や必要な人材がまだ不十分であるが、CDMは廃棄物処理や交通分野などで大きなポテンシャルを持っていると述べました。その後、平石尹彦IGES理事をモデレーターに、カンボジア、中国、インド、インドネシア、フィリピン、タンザニア及びオーストリアの各国政府代表や有識者によるパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、各国のCDMに対する取り組みやCDMを持続可能な開発と結びつける方策が話し合われ、CDMは認証排出削減量(CER)割当の面が先進国から着目され過ぎているが、もっと途上国の持続可能な開発に資するように制度を運用すべきであるといった意見が出されました。また、参加者からは、アジアでのCDM事業の経験をアフリカで適用する方策やCDM事業実施のための資金調達に関する意見や質問が出されるなど、活発な意見交換が行われました。

また、11月10日(現地時間)に開催したサイドイベント「将来枠組みへのアジアの期待(Asian Aspirations for Climate Regime Beyond 2012)」には、各国政府交渉担当官や有識者等約80名が参加しました。このサイドイベントでは、アンチャ気候政策プロジェクト上席研究員より、「2013年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話」に関する報告書『Asian Aspirations for Climate Regime Beyond 2012(将来枠組みへのアジアの期待)』が発表されました。また、ジョアンナ・ルイス ピュー気候変動センター(Pew Center on Global Climate Change)研究員から、同センターが実施した気候対話に関して報告され、こうした対話を継続的に実施し、政府間及び国際交渉への反映を図っていくことが重要であることが示されました。その後、浜中裕徳慶応義塾大学教授をモデレーターに、中国、インド、韓国、フィリピン、インドネシアの各国政府代表や有識者によるパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、各国の開発計画と気候政策を統合すること、エネルギーの持続可能な開発を目指すこと及び省エネ技術へのアクセスを改善することの重要性や、温暖化対策の国際的取り組みで気候変動の緩和対策と適応対策とを同じレベルで取り組む必要性が指摘され、また参加者からは、アジアの主要途上国による削減目標設定の可能性に関する質問が出されるなど、活発な意見交換が行われました。

2.報告書『Asian Aspirations for Climate Regime Beyond 2012(将来枠組みへのアジアの期待)』について

IGESは、気候変動に関する将来枠組みについて、政策担当者、産業界、有識者、NGO等多様な関係者間の対話を実施する「2013年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話」を2005年度より実施してきました。2年目となる本年度は、昨年度明らかになった特に関心が高い「エネルギー政策と持続可能な開発」、「クリーン開発メカニズム(CDM)」、「技術開発と技術移転の促進」、「気候変動への適応策」の4つのテーマに焦点をあて、北東アジア、東南アジア、南アジアの3つの地域で対話を実施しました。 今回発表する報告書は、一連の対話の結果導き出されたアジアの関心事項を踏まえた将来枠組みの方策を取りまとめたものです。

今回の対話では、それぞれのテーマで以下のような意見が出されました。


<エネルギー政策と持続可能な開発>

アジアが経済発展を達成すると同時に気候変動にも対応するためには、安価で安定したエネルギーを確保することが重要である。温室効果ガスの削減を図りつつエネルギーの安定確保を図るためには、エネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの導入を促進する効果的な政策や実施手段及び投資を通じた戦略的な国際協力が重要である。
アジア各国における開発ニーズと重点課題の多様性を考慮し、気候変動緩和政策の実施が開発ニーズを満たし、また開発政策の実施が気候変動の緩和に資するような、開発と気候政策の共通の便益(Co-benefit)を考慮することが重要である。

<クリーン開発メカニズム(CDM)>

CDMはアジア各国の持続可能な発展を促進する手段として期待が高く、2013年以降も継続されることが強く望まれる。
多岐にわたる分野で様々な規模のCDMを実施していくためには、2013年以降もCDMを継続することが確認され、対象分野を更に拡張していくとともに、CDMの実施に対して多様な資金調達手段が確保されることが重要である。

<技術開発と技術移転の促進>

気候変動対策に有効な既往技術は多数あるが、知的所有権(IPR)が大きな障壁となって技術移転が期待通りに進んでいない。知的所有権の弾力的な運用など技術移転を効果的に促進する政策とその実施手段を通じた国際協力が重要である。
先進国と途上国とが協力して技術開発を行うことや、途上国間または途上国国内で利用可能な技術の普及を図る協力体制と資金及び実施能力への支援が重要である。

<気候変動への適応策>

アジアでは、すでに気候変動の影響を受けている国もあり、早急な気候変動への適応対策が必要である。特に各国の開発計画に適応政策を組み入れていくことが重要であり、また政策としてトップダウンで実施する施策と住民参加によるボトムアップでの施策を組み合わせて実施することが重要である。
適応策の具体的な実施には高額な費用が必要となるため、適応基金の拡大とともに多様な資金調達手段を検討することが重要である。特に、政府開発援助(ODA)を利用した適応対策には期待が高い。

この対話の結果を踏まえ本報告書では、より効果の高い将来枠組みを実現するための方策を提言しています。
 提言仮訳
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【本件に関する問合せ先】
(財)地球環境戦略研究機関(IGES)
気候政策プロジェクト 主任研究員
須藤智徳 電話:046-855-3871

IGES 広報担当:城戸めぐみ
Email: iges@iges.or.jp
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3734 / Fax: 046-855-3709

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