COP18サイドイベント:アジアにおける低炭素未来への道
2012年11月29日、カタールの首都ドーハにおいて開催された国連気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)において、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、米国のGHG Management Institute(GHGMI)及びClimateWorks財団と共に、「アジアにおける低炭素未来への道(The Road to a Low-Carbon Future in Asia)」と題したサイドイベントを開催しました。政府関係者、援助関係者、市民団体、企業等より150名あまりの参加を得た本イベントでは、World Resources Institute(WRI)気候変動・エネルギープログラムのジェニファー・モーガン氏をモデレーターに迎え、研究者や実務者の視点から、アジアにおける低炭素社会への道筋に関する発表及びディスカッションを行いました。
日時
2012年11月29日(木) 11:30-13:00
会場
Side Event Room 8, Qatar National Convention Centre
主催
Greenhouse Gas Management Institute (GHGMI)
ClimateWorks Foundation
Institute for Global Environmental Strategies (IGES)
メディア掲載
IGESのCOP18サイドイベントの様子がNHKニュースで放送されました
(11月30日)
IISD "Earth Negotiations Bulletin (ENB) 29Nov."
Documents
報告書(143KB)
アジェンダ(English)
(204KB)
発表資料
ClimateWorks 2020 Gigatonne Scorecard(1.2MB)
Casey Cronin, Senior Research Associate, ClimateWorks Foundation
Activities of IGES in Knowledge Sharing to Low Carbon World(989KB)
Shuzo Nishioka, Senior Research Advisor, IGES / Secretary-General, International Research Network for Low Carbon Societies (LCS-RNet) and Low Carbon Asia Research Network (LoCARNet)

Comparative study of NAMA Formulation in Southeast Asia(359KB)
Kentaro Tamura, Deputy Director, Climate Change Group, IGES
MRV of GHG: How can we apply to NAMAs?(127KB)
Yasushi Ninomiya, Director, Market Mechanism Group, IGES
Bridging Policy and Research on Short-Lived Climate Pollutants in Asia(1.2MB)
Eric Zusman, Senior Policy Researcher, IGES
Developing Implementation Capacity for a Low-Carbon Asia: Opportunities and challenges in MRV(80KB)
Tim Stumhofer,Senior Program Associate, Greenhouse Gas Management Institute

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会議報告

まず、ClimateWorks財団のケーシー・クロニン氏からは、中国の交通セクターやインドの電化製品等の主要排出国・セクターにおける技術削減ポテンシャルの研究結果が紹介された。クロニン氏は、これらの国・セクターにおいて現在採用されている政策に加え、ClimateWorks財団の研究をふまえた政策を完全に実施した場合、2020年に予測される世界のGHG排出はBAU(58Gt CO2-eq)よりも8Gt CO2-eq/年少なくなることを示しました。

IGESからは4人の発表がありました。まず、西岡秀三IGES研究顧問からは、IGESの研究活動紹介や、欧米の研究機関を中心とした低炭素社会に関する研究ネットワークであるInternational Research Network for Low Carbon Societies (LCS-RNet)やアジアの低炭素社会に特に焦点をあてた研究ネットワークであるLow Carbon Asia Research Network (LoCARNet) といった研究者ネットワークを通じ、低炭素社会に関する知識共有の場の重要性が主張されました。

エリック・ザスマンIGES気候変動グループ主任研究員は、短期寿命気候汚染物質(SLCP)に関する発表を行いました。途上国で使用されているバイオマスから液化天然ガス(LPG)への移行等のSLCP対策は、気候変動対策のみならず、大気汚染や健康問題への対策にもなるといったコベネフィット(相乗効果)が見込まれています。しかし、ザスマン主任研究員は、多くの場合制度上の理由から導入が遅れており、早急に行動を起こす必要性があると述べました。

田村堅太郎IGES気候変動グループ副ディレクターからは、アジア5カ国における「適切な緩和行動(NAMA)」の比較研究に関する成果発表がありました。研究による政策への示唆として、低炭素社会の発展のためには、NAMAが非常に重要な役割を果たしており、またNAMAの策定にあたっては技術的・制度的枠組み、また開発政策へのNAMAの主流化が重要であるとする提言を行いました。また、先進国側への提言として、ドナー間の協調等にも言及がありました。

続いて、NAMAの測定・報告・検証(MRV)に関する発表が行われました。二宮康司IGES市場メカニズムグループディレクターは、4種類(国家・政策・事業・組織の各レベル)のNAMAのMRVを紹介し、特にセクター横断の政策等の政策のMRVについてはこれまでのCDM等の知見を活用しつつも、今後の更なる研究の必要性がある分野であると説明しました。NAMAのMRVの実務者であるGMGMIのティム・スタンフォファー氏からは、MRV実務者に対する能力構築支援等の実施経験が共有され、また多様な種類のMRVへの対応が必要である等の、MRVが現在抱えている課題、また今後のMRV実施の強化策に関する展望が発表されました。

質疑応答は非常に活発に行われ、中にはUNFCCCの下でのNAMAはアジアの低炭素社会に向けて最良の方法なのかを問う、NAMAの根本に関わる問題提起もありました。これに対し、登壇者からは、UNFCCC外での自主的な削減策も必要だとしながらも、現在のUNFCCCの下のNAMAは途上国各国の様々な状況に柔軟な対応が可能となっており、現在のNAMAを進める方が良いのではないかといった回答があった。モデレーターのジェニファー・モーガン氏からは、NAMAのルールの柔軟性が高ければ実施が容易だが、削減という意味での実効性が弱まる可能性があることが指摘されました。全体を通し、アジアの低炭素社会に向けた更なる政策研究、実務レベルでの制度の向上や人材の能力構築の必要性が説かれました。




お問合せ:IGES気候変動グループ
cc-info@iges.or.jp

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