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コミュニティによる森林モニタリングの可能性
(2012年12月4日)
11月28日にCOP18会場で実施された(独)森林総合研究所主催のサイドイベント、「国家森林モニタリングシステムは何ができるのか?(What can National Forest Monitoring Systems (NFMS) do?)」において、プレゼンテーションする機会をいただきました。国家森林モニタリングシステムは、REDD+に関するCOP18における交渉の中心的議題であり、連日議論が行われています。IGESの森林保全チームでは、途上国の農村部の森林に依存しながら暮らす人々(コミュニティ)が参加できる森林モニタリングについて研究を行っています(詳細は、コミュニティによる森林モニタリングに関するポリシーブリーフ参照)。このサイドイベントでは、「コミュニティによる計測を国家森林モニタリングシステムに取り入れる可能性」というタイトルのプレゼンテーションを行い、地域コミュニティ(森林に生活を依存している途上国農村部など)による森林のモニタリングの現状とその利点を紹介し、国レベルのモニタリングシステムに取り入れる必要性、そのために何をしなければならないかについて提案しました。
Author
森林保全チーム
REDD+では、森林減少・劣化を防止する活動の成果を森林からの排出削減量として計測することが必要になり、これまでのモニタリングよりも詳細で高精度、そして定期的なモニタリングが要求されています(従来のモニタリングと排出削減のためのモニタリングの違いについては、IGES二宮研究員のポリシーブリーフ参照)。REDD+の実施を希望する途上国は、REDD+の準備活動として、先進国の支援のもと、国家森林モニタリングシステムの整備を進めています。

国レベルの森林モニタリングは目新しいものではなく、今までは各国の森林資源の把握を目的に実施されてきました。そして、森林モニタリングは森林の専門家によって実施されるべきと考えられてきました。しかし、森林のモニタリングには地域のコミュニティも参加する必要があります。なぜなら、彼らは森林の中または周辺に住み、生活の一部を森林に依存しており、森林管理の中心的存在となるべき存在だからです。彼らがステークホルダーとして森林管理に参加できるシステムの構築は、森林ガバナンスの強化、森林減少の防止につながります。IGESが実施してきたコミュニティによる森林モニタリングに関するプロジェクトでは、彼らに適切なトレーニングを実施すれば、コミュニティは専門家と遜色なく、正確な森林計測を実施でき、コストも低く抑えることができるということでした。

さらに私たちは、コミュニティが計測したデータの分析結果をコミュニティに理解可能な形でフィードバックすることが重要と考えています。森林を管理するためには森林のデータが不可欠ですが、これまでコミュニティは森林の情報はおろか地図も持っていないことが多く、森林管理計画を作ることすら難しい状況にあります。コミュニティが森林モニタリングに参加することによって情報を得ることができれば、彼らは持続的に森林を管理することができるようになります。つまり、REDD+における森林のモニタリングが、単なる森林減少の状況や排出削減(カーボン)量の把握だけにとどまらず、より良い森林管理を促進し森林減少・劣化を防止する「REDD+活動」に直接貢献し、排出削減を促進することができるようになるはずです。

今回発表の後、非常に多くの方から「コミュニティを国レベルの森林モニタリングに取り入れるというのは面白いアイディアだ」と声をかけていただきました。国連食糧農業機関(FAO)で途上国の国家森林モニタリングシステム構築支援を担当している方からも、是非このアイディアを実際の現場で取り入れたいので協力してほしいというお話をいただきました。また、REDD+に関連した他のサイドイベントやワークショップに参加する中で、コミュニティによる森林モニタリングへの関心が高まっていることを実感しました。現在はこれらの取り組みがバラバラに行われており、情報が統合されていません。REDD+の森林モニタリングにおいて、コミュニティの参加をメインストリーム化するためには、これらの機関で情報交換や経験共有を行い、意見を発信していくことが重要だと感じました。近い将来、このようなネットワーキングの機会をIGESが主導して提供できるようにしたいと考えています。



*** このコメンタリーの内容は執筆者の見解であり、IGES の見解を述べたものではありません。

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