rio+20 towards and beyond
ポスト2015年開発アジェンダに関するバリ地域会合: 地球環境資源制約の下、開発目標はどうあるべきか?ポストMDGsとSDGsプロセスを統合するためのシナリオ案
(2012年12月)
ポスト2015年開発アジェンダに関するアジア太平洋地域コンサルテーション会合が、2012月12月13-14日にインドネシア・バリで初めて開催された。インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領がポスト2015年開発アジェンダに関するハイレベル・パネル(HLPEP)の共同議長であることから、2013年2月の第3回(モンロビア・リベリア)、3月の第4回(バリ・インドネシア)で開催予定のHLPEP本会合に向けた地域準備会合(結果をインプット予定)として、インドネシア政府が主催した。ユドヨノ大統領は、本プロセスへの参加支援のために、関係省庁から構成される国家委員会を設立し、国内及びアジア太平洋地域で様々なコンサルテーションを開催する予定である。異国情緒溢れるバリで開催された同会合は、ユドヨノ大統領、アミナ・J・モハメド国連事務総長特別顧問、米コロンビア大学ジェフリー・サックス教授(ミレニアム開発目標(MDGs)国連事務総長特別顧問)、コロンビア国外務省ポーラ・カバレロ氏(SDGs推進人)が参加するなど、非常にハイレベルな議論が行われた。
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post2015
ポスト2015年開発アジェンダに関するアジア大平洋地域コンサルテーション会合
インドネシア・バリ
アジア太平洋地域の政府関係者、国連関係者、研究機関や市民社会等様々なステークホルダー約300名が参加し、次の4点について議論した。1)国家間及び国内における衡平性、社会包摂性; 2)経済発展と成長:雇用創出と貧困削減のための国家能力構築とグローバル・パートナーシップ; 3)対応力(レジリエンス)、衡平性と環境・持続可能性:国家及び地球規模の枠組み; 4)国・グローバルレベルにおける持続可能な開発のためのガバナンス構築。また、2015年以降の新たな目標は、経済、社会、環境及びガバナンスの4つの領域を考慮する必要があるというジェフリー・サックス教授の主張に多くの参加者が賛同していた。

開発と環境の統合が進む:包括的ビジョンが必要
CSOグループ・コンサルテーション
会合では、多くの参加者がポスト2015年開発アジェンダ(P2015A)の中で地球環境資源制約や持続可能性を考慮するべきと発言するなど、開発と環境の統合が進みつつある。しかしながら、こうした議論は開発と環境に関する全ての領域をカバーし出来る限り多くの声を反映したいという意向が強く、双方を統合するための目標設定方法については深堀されなかった。積極的な若者グループの声が印象的であった一方、脆弱国家・紛争後国家と開発目標の関係性等を主張する参加者もいた。

会合全体では、多くの参加者が普遍的な目標の必要性について訴えたが、特に、ライフスタイルの変革、過剰消費や高齢化等の先進国が直面する課題についてはあまり言及されなかった。 アミナ・モハメド氏は、新たな目標が過剰な目標リストでクリスマスツリーのようにならないように数を制限する必要があると強調した。地球環境資源制約の下での開発目標として重要な要素は、統合的かつ個人にも分かりやすい目標である。私の参加したグループ・ディスカッションで議論されたビジョン - 人権原則に基づき、全ての人と将来世代があらゆる資源を楽しめる衡平かつ説明責任のある貧困削減と持続可能な人間開発 - は、これを考える上で参考になるであろう。

今後の発展のために:地球環境資源制約下における開発目標シナリオ案
現行の議論を前進させるためには、目標・指標に関する具体的なイメージが必要である。次の表は、私なりに、国際論議を踏まえた環境と開発の統合目標策定のためのシナリオを3つ例示したものである。シナリオ1は、現行のMDGs目標7(環境・持続可能性)に生物多様性とエネルギー等の持続可能性に係る課題を追加した例である。シナリオ2は、開発目標を入口とし、各目標に持続可能性の要素を組み込ませた。シナリオ3では、地球環境資源制約と普遍性を考慮し、地球規模と国家・準国家レベルにおいてそれぞれの発展レベルに応じた目標を設定した差異あるアプローチを軸とした。


持続可能な開発の達成という共通目標の中に、各国がそれぞれ異なる優先課題を有するのは明らかであるため、地球環境資源制約下の人間の幸福を最もよく考慮しているのはシナリオ3ではないだろうか。多くの開発途上国にとって、天然資源(清浄水等)への「基礎的なアクセス」は、重要な社会的問題かつ優先課題である。中所得国においては、天然資源利用の「効率性」(エネルギー効率等)が、重点経済課題に対応し革新を促進するための最も重要な原動力の一つである。一方、先進国では、「ライフスタイルの変革」が環境改善のために必要なアクションとして求められている。例えば、エネルギーと気候変動に関する目標では、電力へのアクセス、エネルギー効率の向上、ライフスタイルの変革としての再生可能エネルギー利用の増加、の3つの目標群が普遍的かつ異なる発展レベルに応じた目標となる。一方、シナリオ2は、環境持続可能性全体に係る目標の要素が弱く、シナリオ1では経済、社会、環境の3つの領域を統合するには至らないという各国の意見が多かったのも、国連経済社会局(UNDESA: SDGs事務局)が実施したアンケート(*1)において明らかである。

2012年6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)で合意されたSDGsに関するオープン・ワーキング・グループ(SDGs OWG)が2012年12月に正式に設立された。また、HLPEPは2013年2月にモンロビア(リベリア)、3月にバリ(インドネシア)で会合開催を予定しており、2013年5月にはHLPEPの最終報告書が発表される。こうした今後のプロセスでは、2015年以降のビジョン、優先課題や形式を決定する上で、上記のシナリオ・オプションを念頭に置いて議論することが求められている。
*1:UNDESAの各国への呼びかけで、2012年10月~11月に実施された。United Nations General Assembly, Secretary-General’s Initial Input to the Open Working Group on Sustainable Development Goals (A/67/….), Advance Unedited Copy, 12 December 2012.

*** このコメンタリーの内容は執筆者の見解であり、IGES の見解を述べたものではありません。

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