rio+20 towards and beyond
UNCSD第2回会期間会合に参加して
(2011年12月15-16日, ニューヨーク)
リオ+20に向けた複雑な思いと期待:
リオ+20は、持続可能な開発に係る多国間プロセスの 新たな先例となり得るか
2012年6月にブラジル・リオデジャネイロで開催される国連持続可能な開発会議(UNCSD、「地球サミット」「リオ+20」)に向けて、第2回会期間会合が12月15-16日にニューヨークで開催された。本会議まで、あと6カ月。成果文書に向けた手がかりは見えたのだろうか。

「私たちが望む未来」に向けて前向きな精神と建設的な国際社会の協力が必要、というシャ・ズカン国連事務次長(国連経済社会局長・リオ+20事務局長)の宣言で会議は開幕した。11月1日にUNDESA(リオ+20事務局)に提出された各国・機関・メジャーグループからの提案文書1に関する要点の共有、また、成果文書の基礎となるゼロドラフト(2012年1月中旬に発表予定)の構成や形式について議論が交された。今回は、直前に南アフリカ・ダーバンで開催された国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)を経て、これまで以上に多国間における集団行動(collective action)に対する楽観論が気候変動分野だけでなく、持続可能な開発分野でも浮上してきている。しかしながら、今回の会議に対する評価は不安と期待が入り混じった結果となった。主な会議結果は、以下の通りである。
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プログラム・マネージメント・オフィス
会議結果:リオ+20成果文書ゼロドラフトの展望は?
ゼロドラフトの形式や構成については、合意された行動項目を含む、簡潔かつ焦点を絞った政治宣言であるべきとして概ね合意された。文書には、マルチ・ステークホルダーの参加の促進や時間枠と実施手段を明確に言及すべきとの多くの見解があった一方、交渉プロセス(交渉に基づくべきか、自発的なものにまかせるべきか)、また、構成(テーマに関する様々な提案が政治宣言本体、もしくは、付録(Annex)に盛り込まれるのかは)については様々な意見があった。参加者の一部には、自発的な政治宣言および付録という形式しかめぼしい成果がなく、期待を下回る結果となったという失望感も見受けられた。

リオ+20の2つのテーマである「持続可能な開発と貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」および「持続可能な開発のための制度的枠組み」では、多くの国がグリーン経済への移行は持続可能な開発を達成するための手段であり、1つの枠組みを多角的に用いる方法(one-size-fits-all approach)は適切ではないことで概ね合意した一方、持続可能な開発に係る3つの側面(経済、社会、環境)は、グローバル・地域・国・地方全ての層における制度的枠組みの強化が必要であるとの意見で一致した。各テーマに関する様々な提案が政治宣言、もしくは、付録に盛り込まれるのかは、今後の展開次第である。が、おそらく後者になるだろう、という多くの声が会議場内外で聞こえた。

他方、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」に対する関心が 高まっている。これは、コロンビア政府が発案し現在ではグアテマラおよびペルーとともに共同提案をしている。途上国を主なターゲットとしたミレニアム開発目標(MDGs)とは異なり、先進国・途上国の双方に普遍的に、かつ、持続可能な開発の3つの側面を包括的対象とするという構想である。GDPに替わる持続可能な開発の測定手段(例えば指標)の必要性に関しても多くの国が支持している。その一方、「共通だが差異ある責任(common but differentiated responsibilities (CBDR))」に対する見解も変わってきている。従来のCBDR原則に追加する形で「応分の能力(respective capabilities)」をSDGsの原則として主張する国も現れた。MDGs達成に向けた進捗が、新たなSDGsの協議プロセスにより弊害を被るべきではないという声もあった。これらを踏まえると、グローバルな「共通目標」と国家レベルでの「差異ある責任」を伴う達成目標を明確に示すこと、また、SDGsとMDGsの関係性を明らかにすること等が今後の焦点となり得ると考えられる。リオ+20では、SDGsの定義、対象範囲、策定計画など複数案が錯綜する中、何が策定されるべきなのか、今後検討しなくてはならない重要課題のひとつである。

もう1つの論点は、新たな優先課題である。ブラジル政府は、リオ+20本会議の直前に8つのテーマに関する会議を開催すると発表した。これらのテーマとは、食糧安全保障と貧困根絶、持続可能な都市、エネルギー、イノベーション、水、海洋、持続可能な開発における経済、および、適切な雇用と移民問題である。加えて、リオ+20での「持続可能な消費と生産に関するマラケシュ・プロセス(10 Year Framework of Programmes on Sustainable Consumption and Production)」の策定や潘基文国連事務総長が提唱した「すべての人に持続可能なエネルギーを(Sustainable Energy for All Initiative)」の重要性を言及すべきと主張した国もあった。これらに明示的に反対している国はなく、上記の優先課題のリストとともに、成果文書に反映される可能性が高いだろう。

今後は、UNCSDビューローが12月19日の週に本会議結果をレビューし、ゼロドラフトの形式と構成について確定、2012年1月中旬にはゼロドラフトを発表する予定である
リオ+20に向けて
ゼロドラフトの骨子もなく始まったこの会議では、十分な議論内容がなく、発言者不足で会議が早めに終了するという異例の事態となった。しかしながら、少なくともゼロドラフトは、SDGs等の合意事項を含む政治宣言と付録(Annex)からなる可能性が高い、という方向性が見出された。これまでの準備プロセスでは、20年前ほど期待感が高まっておらず、展望も難しい。こうした中、COP17の成果に喚起され、リオ+20は持続可能な開発に係る多国間プロセスの新たな先例となり得るのだろうか。もしくは、単なるひとつの国連会議で終わってしまうのだろうか。正式な交渉プロセスが来年1月2から開始し、本会議まで続く。前向きに考えてみよう。会議の成功は政治文書の中身だけで決まるのではなく、市民社会の積極的な参加で決まると主張した国もあった。その通りである。リオ+20で何を見出せるのかは、我々が明確なビジョンを持ち、集団的、積極的、かつ、タイムリーに行動していくことに掛かっているのではないか。
1. UNDESA (リオ+20事務局)の呼び掛けにより、2011年11月1日に、各国、関連国連機関、および、メジャーグループよりリオ+20に対するインプットが提出された。第2回非公式会合では、同局がこれらのインプットをとりまとめた「リオ+20成果文書のための統合文書」に関するコメントが共有され、今後は同局が本会合の結果を基にゼロドラフト草案作業に入り、2012年1月にゼロドラフトを発表する予定である。
2. 第1回成果文書ゼロドラフト協議は、2012年1月25~27日に開催予定。

*** このコメンタリーの内容は執筆者の見解であり、IGES の見解を述べたものではありません。

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