生物多様性と森林

「生物多様性」は、非常に豊かな多様性という、地球に生きる生命のとても重要な特徴を表す言葉です。地球上には推定800万種の生物が生息し、それぞれの種が、さまざまな場所で無数の生態系を形づくり、人々のウェルビーイング(幸福)に欠かせない自然の恵みを提供しています。生物多様性の急速な喪失は、気候変動の影響で加速的に悪化していて、現代社会が直面する深刻な危機の一つになっています。アジア太平洋地域では、特に森林の保全が気候変動対策に重要です。これに対応するため、IGESの生物多様性と森林分野の研究員は、国際的な政策立案に参加し、多種多様な実践的プロジェクトを実施し、このテーマに関する科学的な研究や政策提言に貢献しています。現在の重点分野は、木材の合法性に関する政策、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(里山・里海ともよばれています)などです。


研究員の視点

ブリーフィングノート
ポイント IPBES地球規模評価報告書は、自然は人類の生存やSDGs達成に欠かせない基盤であり、この基盤が急速に失われていると報告した。SDGsの達成や自然との共生に向けて、経済、社会、政治、技術をまたぐ変容(トランスフォーマティブ・チェンジ)が求められる。 生物多様性と気候変動は不可分の課題である。2℃の気温上昇でサンゴ礁が99%減少するといった予測結果が示すように、気候変動が生物多様性を大きく損なう。一方、気候変動緩和目的の大規模なバイオエネルギー生産は生物多様性や食料や水の供給を脅かす。こうした生物多様性と気候変動の相互関係についてIPCCとIPBESの合同技術報告書の作成が予定されている。 新型コロナウイルスの感染拡大から人と自然との関わり方を問い直す必要がある...
 
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IPBESによる地球上の自然と自然の恵みの評価報告書、5月6日に発表予定

日本ではゴールデンウィークにあたる4月29日から5月4日の間、生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services: IPBES)の第7回総会がフランス・パリのユネスコ本部で開催される。ここでは、2012年のIPBES設立以来初となる、生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書の政策決定者向け要約...

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ネイチャーポジティブの実現に向けて:生物多様性の回復と持続可能な未来への挑戦

「ネイチャーポジティブ(自然再興)」とは、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることで、2050年までに完全な自然回復および自然と共生する社会を実現することを目指す国際的な目標です。この目標は、昆明・モントリオール生物多様性枠組に基づいており、2023年に発表されたネイチャーポジティブイニシアティブに沿ったものです。 ネイチャーポジティブを実現するためには、種や生態系、自然のプロセスにおける豊かさ、多様性、健全性、回復力(レジリエンス)を高めることが必要です。これにより...
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専門家と考える、生物多様性と気候変動の未来2~IPBES最新報告書から学ぶ自然と社会の関係性

IGESは、国立環境研究所が主催する、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム(IPBES)(※注)が、昨年12月に公表した2つの報告書についてのウェビナーを、共催します。 これらの報告書は、それぞれ『ネクサス』と『社会変革』をテーマにまとめられています。 『ネクサス』では生物多様性、水、食料、健康、気候変動の5つの危機の相互連関や影響について、『社会変革』では自然の損失を回復に向かわせる際の障害や乗り越え方、良い取り組み事例について分析し...
過去のイベント
生物多様性ウェビナー

今年の生物多様性に関する国際政策の主要イベントの総括と今後の展望

今年の10~11月に生物多様性条約第16回締約国会議(CBD-COP 116)がコロンビアのカリで開催され、続く12月には生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム総会第11回会合(IPBES 2-11)がナミビアのウィントフックで開催されました。2030年までの「ネイチャー・ポジティブ」実現を掲げる昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)が2022年12月のCBD-COP15第二部において採択されて以降初となる今回のCOPでは...

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プロジェクト
Updated: 2025年3月

環境研究総合推進費1CN-2206(2022~2024年度) ASEANにおけるネットゼロかつレジリエントな社会実現に向けた国家の緩和適応統合長期ロードマップに関する研究

IGESでは、ASEAN気候ビジョン2050が示すネットゼロかつレジリエントなASEAN共同体の構築に向けて、ASEAN主要4カ国(インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム)を対象とする、緩和・適応を統合的に推進する長期ロードマップ策定に関する研究を実施しています(環境研究総合推進費1CN-2206:2022年4月~2025年3月)。 本研究事業の成果は、国家の長期戦略(LTS)、国が決定する貢献(NDC)、国家適応計画(NAP)、セクター別計画、開発計画等をはじめ...
プロジェクト
Updated: 2024年12月

「IGES日本語で読むシリーズ」解説ウェビナー

IGESでは、国際社会で注目を集める環境・持続可能性に関する主要報告書について、日本語翻訳版や日本語による解説ハンドブックをタイムリーに作成し、特集ウェブページ「IGES日本語で読むシリーズ ー 世界の環境関連の重要文書を日本語でチェック!」で紹介しています。
本ウェビナーでは、この「IGES日本語で読むシリーズ」から、特に国内のニーズが高い報告書について、翻訳に関わった研究員による簡潔な解説、監訳者や他の研究員との対話、視聴者との質疑応答の3部構成を基本とし、毎回30分~60分程度で実施する
プロジェクト
Updated: 2024年12月

責任ある木材調達

森林は世界の陸地面積の3割を占め、気候変動の緩和や適応、生物多様性や地域社会の生計の維持に重要な役割を果たしており、森林・木材産業はその持続可能な管理のためのキープレーヤーです。しかし木材の違法伐採や、生産林の非持続的な管理は世界の森林の大きな劣化・減少要因となっています。その抑制のため、EU木材規則や森林減少防止規則、米国改正レーシー法など各国での取り組みが進められています。日本政府も2006年のグリーン購入法の改正と「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」の策定、20

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2024年10月22日

12月公開予定IPBES評価報告書 報道関係者向け事前説明会開催

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プレスリリース
2024年3月8日

IGESにIPBESシナリオ・モデルタスクフォース技術支援機関を設置

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、日本国環境省との協力のもと、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)シナリオ・モデルタスクフォースの技術支援機関(Technical Support Unit: TSU)を2024年3月1日にIGES東京サステイナビリティフォーラム内に設置しました。 IPBESシナリオ・モデルタスクフォースは...
お知らせ
2024年1月30日

IPBESシンポジウム「ネイチャーポジティブ社会に向けた社会変革と行動変容」共催

IGESは、環境省が2024年2月26日(月)にオンラインで開催するIPBESシンポジウム「ネイチャーポジティブ社会に向けた社会変革と行動変容」を共催します。 豊かな生物多様性に支えられた生態系は、私たちの社会・経済・暮らし・文化の基盤であり、様々な恵みをもたらし、人間の福利に貢献してくれます。しかし、人間活動の影響により、地球全体でかつてない規模で多量の種が絶滅の危機に瀕しています。生物多様性版の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)ともいわれる生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学...