地域循環共生圏のアジア都市圏への適用―ネットゼロに 向けた取り組みを中心として

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アジアの都市は,再エネのシェアの増加や多様な政 策措置の導入によるエネルギー効率の改善など,世界 的に合意されている気候変動の緩和策の目標に向けて すでにさまざまなレベルの取り組みを行ってきてい る。アジアの多くの都市も,ネットゼロへの取り組み を宣言してきている。いくつかの都市は,ネットゼロ に向けた計画と具体的な行動を公表した。しかし,ほ とんどの都市は利用できる資源や経験・能力が限られ ているために,2050 年までにネットゼロを達成する 長期計画を立てる課題に直面している。都市の境界内 で利用可能な再生資源が限られていることを考える と,都市単独でネットゼロを達成することは通常のア プローチでは極めて難しい。地域循環共生圏のアプロ ーチを採用すれば,農村地域との協力をネットゼロに 向けて強化し,地域で利用可能な緩和オプションを最 大限に活用することができる。例えば,横浜市は再エ ネのポテンシャルが高い他の地域とのコラボレーショ ンを構築しており,それによって都市部と農村部の 人々に複数のメリットをもたらしてきた。アジアの途 上国への地域循環共生圏アプローチの適用は,エビデ ンスに基づく知識の欠如,適切なガバナンスフレーム ワークの欠如,ウィン・ウィンな解決策に関する認識 の欠如,複数の利害関係者の関与の欠如など,未ださ まざまな課題に直面している。CES - アジアコンソー シアムは,効果的な都市と農村のコラボレーションに 関し,エビデンスに基づく知識を生み出し,複数の利 害関係者が関与できるプラットフォームを促進し,ボ トムアップの優先の行動を促進することにより,アジ ア地域全体で地域循環共生圏のアプローチを推進する ために重要な役割を果たすプラットフォームを提供す るものである。

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