持続可能な都市 (北九州アーバンセンター)

「スラバヤ市における低炭素都市計画策定支援事業」
中間報告会を開催

北九州アーバンセンターでは、環境省による「アジアの低炭素社会実現のためのJCM(二国間クレジット制度)大規模案件形成可能性調査」の一環として、インドネシア国スラバヤ市における低炭素都市計画策定支援事業を行っています。本事業は、北九州市とスラバヤ市の10年以上にわたる環境分野での人材交流や技術移転の実績及び2012年11月に締結された両市の環境姉妹都市連携をベースにしています。

今回、スラバヤ市で行われた中間報告会には、スラバヤ市からは開発計画局(BAPPEKO)ほか関係部局、水道供給公社(PDAM)等関連事業者、日本国側からは北九州市ほか各分野の専門家合わせて約50名が出席し、各分野の調査進捗報告、関連施策や規制、事業の費用対効果や実施に向けての体制や障壁等について意見交換が行われました。

日時 2013年11月20日(水) 9:00-12:30
会場 インドネシア国スラバヤ市開発計画局(BAPPEKO)会議室
言語 英語/インドネシア語(逐次通訳)
出席者数 約50名
関連資料 アジェンダ (146KB)
Participants List (英語) (127KB)
発表資料
目的

両国及び両都市の連携を踏まえ、本事業は以下を目的としています。

  • エネルギー、交通、廃棄物、上水道管理の4分野における低炭素計画の策定支援
  • 短期的に温室効果ガス削減と省エネ/コスト削減が可能なプロジェクト形成
  • 長期的に温室効果ガス削減と社会・経済・環境改善をもたらすプロジェクト形成
  • スラバヤ市による温室効果ガス削減効果定量化のためのデータ管理体制の構築支援
発表資料
「スラバヤ市における低炭素都市計画策定支援プロジェクトについて」(英文)
前田利蔵 IGES北九州アーバンセンター副所長、エリアリーダー/主席研究員
 (298KB)
「エネルギー分野における中間報告」(英文)
村岡元司 ㈱NTTデータ経営研究所社会・環境コンサルティング本部本部長
 (1.2MB)
「エコアクション・プログラムについて」(英文)
Santy Dermawi, KPMG インドネシア
 (540KB)
「運輸・交通分野における中間報告」(英文)
熊澤 憲 ㈱アルメックVPI取締役
 (1.1MB)
「スラバヤ市におけるリサイクル事業提案について」(英文)
東 信太郎 IGES客員研究員(㈱西原商事)
 (1.5MB)
「廃棄物発電プロジェクトについて」(英文)
坂田 仁徳 日立造船㈱事業企画本部海外統括部担当部長
 (501KB)
「スラバヤ市・低炭素都市計画策定支援プロジェクト中間報告」(英文)
杉江克彦 アミタ㈱海外グループ・グループリーダー
 (1.8MB)
「水資源分野における中間報告」(英文)
樺沢 敬視 ㈱松尾設計公共設計部担当部長
 (613KB)
閉会の辞(英文)
Maria Anityasari スラバヤ工科大学講師
 (127KB)
背景

2009年にインドネシア国政府は2020年までにGDP比で温室効果ガス26%削減を宣言し、この目標達成に向け、2011年に大統領令「温室効果ガス排出削減に係る国家行動計画(RAN-GRK)」を策定しました。これを受け、各州レベルでも「温室効果ガス排出削減に係る地方行動計画(RAD-GRK)」の策定が進められ、これがいずれ市レベルにも下りてくることが予想されます。一方、2013年8月には日本国とインドネシア国がJCM(二国間クレジット制度)に関する二国間文書に合意し、今後、これが自治体レベルでの具体的な取組の推進を支援することが期待されています。



図: スラバヤ市における低炭素都市計画策定スキーム

中間報告会の概要
オープニング・セッション

開会挨拶にて、スラバヤ市開発計画局(BAPPEKO) 副局長のヘル・アペディアント氏は、本プロジェクトの実施と、現在スラバヤ市で策定中のグリーンシティ・マスタープランが相乗効果を発揮することの期待を示しました。続いて北九州市・本島氏がスラバヤ市と北九州市との間の姉妹都市提携に基づく環境国際協力について、またインドネシア国家気候変動協議会(DNPI)・デビ・ナタリア氏がインドネシア国における低炭素政策について説明しました。

報告

事業の進捗報告では、IGES・前田氏が事業全体で年間10万トン以上のCO2排出量削減を見込んでいることを示しました。その後、エネルギー、交通、廃棄物、水処理の各分野別に進捗を報告しました。

エネルギー分野:
NTTデータ経営研究所の村岡氏が、1)パスルアン工業団地(PIER)において数社が熱電供給(コジェネレーション)プロジェクトへの参加可能性があること、さらに別の3つの工業団地で同様の調査を計画していること、2)スラバヤ市内にあるビル、ショッピングモール、ホテル等から対象物件を選定し、冷却装置やボイラーの改善、ビルエネルギー管理システム(BEMS)やLED照明の導入などの省エネ化対策を提案していることを紹介しました。
続いて、KPMGインドネシアのサンティ・デルマウィ氏は、中小事業者の省エネ・省資源化の取組を促進する日本のエコアクション21をスラバヤ市内の中小事業者に向け普及していること、そしてそれを受け、一事業者がキルン燃料の天然ガスへの転換を検討していることを紹介しました。

運輸・交通分野:
アルメックVPIの熊澤氏は、スラバヤ市においてバスやタクシーのCNG車への転換を促進する事業案を提案しました。現在、スラバヤ市全体では10か所のCNGステーションが稼働中か計画段階にあり、インドネシア国政府もCNGの利用を後押しし、CNG価格もガソリンやディーゼル価格と比較し安定しているため、外部条件はそろっています。また、本事業ではバスやタクシーに設置したGPS機器による運行調査結果に基づき、公共交通やタクシーに対するエコドライブ制度の実施も提案しました。

固形廃棄物管理分野:
西原商事の代理の東・IGES客員研究員が、現在進行中のストロジョ地区でのスーパーデポ(中間処理施設)における廃棄物分別プロジェクトについて紹介しました。ここでは1日当り10-15トンの廃棄物を分別し、リサイクル可能品の回収と有機廃棄物の堆肥化により70-80%を減量していること、また、ウォノロジョ地区において新たに1日当り20-40トンの処理能力の堆肥化施設の建設が進んでいることを紹介しました。

日立造船の坂田氏は、スーパーデポでの廃棄物熱容量調査結果から、500トン/日処理規模の廃棄物発電施設の建設・運転が可能であることを示しました。

アミタの銘苅氏は、スラバヤ市及び近郊に立地する工場や事業所へのヒアリング調査結果から、これらの事業系廃棄物からセメントメーカー向け代替燃料生産が可能なこと、そしてその事業系廃棄物処理施設の建設可能性をセメントメーカーと協議していることを説明しました。

水・廃水処理分野:
松尾設計の樺沢氏は、スラバヤ市水供給公社(PDAM)が管理するナゲルとカラン・ピラン両浄水場及び関連施設の現地調査結果を踏まえ、エネルギー効率化及び漏水率改善の余地が当初の予想ほど大きくなかったことを説明しました。これはPDAMが長期計画に基づき浄水場施設、配水ポンプ場、送水管路等を保守点検・設備更新しているためです。一方、SIER工業団地の汚水処理施設とケプティ汚泥処理場では、現在使用されているエネルギー多消費型の通気装置を省エネ型のものに交換するという可能性があることを示しました。

ディスカッション/閉会

全体討議では、交通分野に質問が集中し、CNG供給体制やそのインフラ整備が計画通り進んでいるのか、またガソリン車のCNG車への変換コストを何年で回収できるのか等の質問や、同様の調査研究実績のあるスラバヤ工科大学の研究者との意見交換を提案する意見がありました。

また、これらの分野別の事業実施によりどの程度のCO2削減が可能か、そしてそれを推進するためにスラバヤ市政府がどのような役割を果たすべきか明確にすることという要望が出されました。さらに分野別のワークショップを開催し、分野ごとに市の関係部局や関係企業と集中した議論を重ねることが必要という意見も聞かれました。

最後に、スラバヤ工科大学のマリア・アンティヤサリ講師が、現在策定中のスラバヤ市グリーンシティ・マスタープランを紹介し、これが計画・設計、緑地、建築物、運輸、コミュニティ、廃棄物、水、エネルギーの8分野を対象としており、本プロジェクトの4分野と重なっていること、そして両事業の連携が望ましく、そのためにもスラバヤ市による調整が必要なことを示しました。また、同氏は日本国政府や北九州市による支援を歓迎するとともに、本事業を通じ形成されるプロジェクトが迅速に実行されるよう計画し、優先順位づけすることを提案しました。

フォローアップ

今後、2月に予定されている最終セミナーに向け、4分野ごとの一連のワークショップを開催し、スラバヤ市、大学、民間企業及び他関連機関関係者を招聘し、研究成果について集中的に議論する予定です。

写真

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