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IGESは、アジアの環境問題の現状と提言をまとめたIGES白書「持続可能なアジア:2005年以降の展望―革新的政策を目指して」日本語版の刊行を記念して、7月1日に国際シンポジウム「持続可能なアジア―未来の世代に向けた選択―」を横浜シンポジア(横浜市)で開催しました。
IGES白書は、これまでにIGESが行ってきたアジア太平洋地域における環境戦略研究活動の集大成であり、今年1月に発表したSustainable
Asia 2005 and Beyond - In the pursuit of innovative
policiesに加筆し、和文でとりまとめたものです。 |
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| 日 時 |
2006年7月1日(土)13:30〜17:00 |
| 会 場 |
横浜シンポジア |
| 参加者 |
約200名 |
| 言 語 |
日本語・英語(同時通訳付) |
| 主 催 |
財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) |
| 後 援 |
環境省、神奈川県、独立行政法人国立環境研究所(NIES)、国連大学(UNU)、国際自然保護連合(IUCN)日本委員会、財団法人かながわ学術研究交流財団(K-FACE) |
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| ◆報告 |
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シンポジウムには会場が満員となる約200名が参加し、アジアの環境問題に対する関心の高さをうかがわせた。日本、フィリピン、中国から第一線で活躍する専門家を招き、IGES白書をもとに、アジアで今何が起きているのか、そして、持続可能なアジアの実現に向けて何ができるのか、グローバルな視点から活発な議論が行われた。
開会挨拶で、森島昭夫IGES理事長が、人口増加の進行と急速な経済発展に伴い、アジアが天然資源の利用や環境の質の低下の面で極めて危機的な状況にあることを指摘し、「アジアの持続的発展がなければ、世界の持続的発展は不可能である」とアジアの環境問題の重要性を強調した。 |
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川口順子参議院議員による基調講演「環境共生社会の実現に向けて:アジアの未来と日本の役割」では、日常生活で感じる最近の降水量や日照時間の変化、そして日本に飛来した黄砂の現象等を例に挙げ、地球環境について何が読み取れるのかという身近なところからの問題提起がなされた。
そして、環境庁長官・環境大臣として、京都議定書の各国における批准発効に向けて尽力する中でのエピソードを交え、人口増加やエネルギー需要の増大が地球環境の破壊につながっているとして、地球環境と調和の取れた共生型のライフスタイルや、地球循環型の社会の構築を進めていく重要性を指摘した。 |
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続いて、森秀行IGES副所長からIGES白書の内容に関するプレゼンテーションが行われた。気候、森林、都市政策、水、産業、教育の各分野の説明と、また、最後の章でまとめられている、(1)早急に環境汚染や破壊に対処するための政策をアジアの多くの国で強力に進めることが必要である、(2)貧困や環境劣化といったアジアの現状に対峙するために、環境に適切で持続可能な形の経済開発を継続することが必要である、 (3)持続可能な開発を進めるための「万能薬」はなく、アジアの国々が置かれているそれぞれの状況に応じた緻密な政策設計や利害調整が、迂遠ではあるが最も確実な方法である、という3つの大きな結論を紹介した。
さらに、浜中裕徳慶応義塾大学教授が、多様な関係者とパートナーシップを高めること、環境情報へのアクセスの確保や持続可能な開発のための教育及び様々な政策について統合的に相乗効果を作り出すような取組を進めることが必要であること、そして東アジアで進行する経済統合の課題等について、多岐にわたるコメントを加えた。 |
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松沢成文神奈川県知事による来賓挨拶では、「持続可能なアジアの実現に向け、私たちに何ができるのかグローバルに考えていきたい。」と訴えるとともに、「“もったいない”から始めよう!」のキャッチフレーズのもと、自主的な地球環境保全に向けての実践活動の内容を登録する「マイアジェンダ制度」といった、神奈川県が企業や県民、NPOと共に環境マインドを共有して実践行動につなげていこうと推進している「新アジェンダ21かながわ」の取組が紹介された。 |
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| ◆パネルディスカッション「持続可能なアジアを目指して」 |
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シンポジウム後半のパネルディスカッションでは、幸田シャーミン国連広報センター所長をコーディネーターに迎え、「持続可能なアジアを目指して」をテーマに、パネリストからアジアの環境問題の現状や優先課題について報告が行われた。
初めに、シエリト・ハビト前フィリピン社会経済計画大臣が、「経済・政治・文化面で多様性を持つアジアにおいては、その環境問題もまた多様であり、そのような中で情報への平等なアクセスや技術移転を進め、かつ自治体や企業、市民社会、NGO等の間で公平なパートナーシップを構築することが重要である。」と述べた。また、アジアで現在行われている多様な政策や制度について、社会経済計画大臣としての自らの経験を振り返り、「『エンフォースメント(実施)』が何より重要であり、これからのアジアはお互いに学びあい、様々な取組をスケールアップし、スピードアップしなくてはならない。」と強調した。
ルウチュウ・イェ中国国家環境保護総局上席顧問は、経済発展と環境保全の調和を基礎とする政策の下、様々な環境規制により汚染を管理している中国の現状を報告。あわせて、2006年〜2010年にかけての五ヵ年計画についても触れ、エネルギー消費の20%抑制、主な公害物質排出の10%削減、森林被覆の回復等、重要地域や大都市での環境改善を目標とする積極的な取組を紹介した。また、メタンを生成することによって果樹栽培等の農業に活用している桂林市での例をはじめ、スライドを活用して具体的な取組の説明を分かりやすく行った。
西岡秀三国立環境研究所理事は、コンピューターを使った100年間の気温のシミュレーションを紹介し、地球温暖化によるヒマラヤでの土砂災害等、気候変動問題が今まさに緊急の課題となっていることを示した。「中でも、アジアは温暖化の問題で非常に重要な鍵となっており、アジアが率先して共同で環境問題に対処する必要がある。」と強調した。「中国にはアメリカより厳しい自動車の燃費基準があり、また、シンガポールでは交通渋滞や大気汚染に配慮した計画的な都市作りが行われているが、これらのアジアにおける優れた取組に学び、気候問題に関する共通の目標をアジアとして持ち、それに向かってインフラ整備を進めるのがよい。」との考えを述べた。
次に、後藤康浩日本経済新聞社編集委員兼論説委員が、企業の役割について報告を行った。「企業にとっての環境」として、(1)企業活動の効率化が環境に良い影響を及ぼすこと、(2)企業の社会的責任(CSR:Corporate
Social Responsibility)に関して、環境面でのCSRを果たしている企業には投資が活発に行われること、(3)ハイブリッド車の開発等、環境に良い製品を開発することによるビジネスチャンスが存在すること、という3つの側面を説明した。「アスベスト問題や、グローバル展開を進める企業が海外での環境対応を問われる等、企業にとって環境はリスクでもあるが、一方で、環境問題に積極的に取り組む企業は企業イメージが上がり、ブランド力が高まることになる。従来、社会と企業、環境と成長という関係はトレード・オフとされていたが、企業と環境が持続可能性をキーワードとして両立的な関係を築くことは可能であり、それをいかに具体化していくかが今、求められている。」と述べた。
これらの報告を受け、森島昭夫IGES理事長は、「次の世代がこれから生きていくために、途上国、先進国、官・民、NGO等それぞれの立場を乗り越えて、どのような生き方をすればよいのかを現実に立って考えること、また、環境問題をはじめグローバルな問題における議論は欧米の視点から行われているが、アジアの声をアジアから発信するべきである。」と指摘した。また、「IGESでは、京都議定書の先にどのような枠組が必要なのか、アジア各国でポリシー・ダイアログを開催しているが、ヨーロッパのような協力体制ができていないアジアでは、このようにまずはできることから実践していくことが必要である。」と改めて強調した。 |
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これらを受けての意見交換では、アジアの環境が差し迫った状況にある中、アジア地域でどのような協力をしていく必要があるのか、日本やフィリピン、中国での地域の活動や企業の取組等、具体例を挙げながら活発なやりとりが行われた。討論を通じて、アジアの中小企業や小規模生産者に対する技術移転や環境対策支援、及び地域協力の重要性が指摘され、最後にコーディネーターである幸田シャーミン国連広報センター所長の取りまとめによって、自治体や企業、市民社会、NGO等によるパートナーシップの構築が早急に求められているとの共通認識を得て、議論が締めくくられた。 |
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