• 自然資源・生態系サービス:概要

  • アジア太平洋地域は生物多様性の高い熱帯雨林や湿地、肥沃な氾濫原やデルタ地帯、淡水域・沿岸海洋生態系など、多様で豊かな自然資源に恵まれています。これらの自然資源はこの地域に住む何百万もの人々の生活や経済にとって大切な役割を果たしています。そして地球全体にとっても、生物多様性、気候変動緩和という視点から非常に大きな価値を持っています。また、気候変動によって大きな影響を受けることが予想される地域では、レジリエンス(対応力)の構築と適応力の強化において、ますます重要な役割を果たすことになるはずです。一方で、人口増加、経済成長、消費が活発な中流階級の増加と、それに伴う資源採取産業や化学薬品を大量に使用する近代的な農業システムの拡大、エネルギー生産のための水や土地に対する需要の増加、大気・水・土壌に排出される汚染物質など様々な要因によって、自然資源はますます脅威にさらされています。自然資源・生態系サービスエリアでは、各国の経済発展のあらゆる側面において自然資源管理が完全に統合されること、そして国・地域レベルの自然資源管理の効果的な実施のために適切な人的・資金的資源が確保されることを目指し、戦略研究及び活動を実施しています。

    本エリアが重視する政策プロセスとマイルストーンとして、地球規模の持続可能性のための10か年(2013-2022)研究プロジェクト「Future Earth」、REDD+の国レベル準備活動プロセスと森林ガバナンス強化プロセス、環境関連法の施行と公平で明確な森林所有権の確保、生物多様性条約(CBD)に関する国家生物多様性戦略と行動計画の開発と実施、UNFCCC作業プログラム・プロセス内外における気候変動適応イニシアティブや兵庫行動枠組等、持続可能な開発目標(SDGs)とポストミレニアム開発目標(post-MDGs)における水資源に関するプロセスとマイルストーンなどが挙げられます。


    森林保全: REDD+及びその他の森林関連課題

    IGESでは、REDD+に関連した研究を様々なレベルとアプローチから実施しています。ローカルレベルでは、コミュニティ主体のREDD+普及に貢献することを目的に、コミュニティ参加型の森林バイオマス計測とそのトレーニングのための手法の開発と実践をアジア・太平洋州の国々の調査地で実施しています。また、国レベルのREDD+準備状況に関する研究も、国レベルのガバナンススタンダード、REDD+とNAMAsの関係性、国レベルと準国レベルのMRVシステムの在り方等に注目して行っています。さらに国際レベルでは、条約交渉の障壁を明らかにし、打開策を検討しています。「IGESオンラインREDD+データベース」では、これらの研究の成果とともに、世界各地で実施されているREDD+実証活動に関する情報とその分析を公開しています。

    IGESは、合法で持続可能な木材貿易を推進する「アジアにおける責任ある林業及び木材貿易(RAFT)パートナーシップ」に参加しています。IGESは、パートナーシップで実施している、森林セクターの合法性と持続可能性に関する基準の開発を、分析面から支援しています。

    * REDD: Reducing emissions from deforestation and forest degradation in developing countries

    Community Carbon Accounting (CCA)(英文)


    気候変動への適応ファクトシート(282KB)

    本研究は、貧困削減及び災害リスクの軽減に関する制度及び政策との相乗効果の促進を通じた適応策の主流化に着目します。具体的には、適応効果を評価する指標の確立、リスク保険やマイクロファイナンス等の革新的な財政メカニズムの促進、農村地域及び都市部での気候変動適応型開発(例:気候変動適応型農業)の推進、気候変動によるロス&ダメージの評価と対策、コミュニティ参加型の適応策を通じた公平性等の社会問題への対応、計画的な移住といった実施されていない施策の検討、能力育成プログラムの策定に向けたニーズ評価を行います。また、アジア太平洋適応ネットワーク(Asia Pacific Adaptation Network: APAN)等の様々なネットワークを通じ、研究成果を能力育成や政策プロセスの場に提供していきます。


    気候変動への適応、自然資源管理、生物多様性に係るナレッジマネージメント
    IGESはバンコク地域センターで誘致しているアジア太平洋適応ネットワーク(APAN)の事務局として引き続き貢献することで、IGES及び他機関が実施した適応に関する研究成果を発信していきます。

    Risk insurance for CCA and DRR (英文)
    ブローシャー: アジア太平洋地域における脆弱性及び適応効果指標に関する研究(478KB)

    水資源管理

    本研究の目的は、様々な社会経済条件のもとでの統合的水資源管理のモデル及びガバナンス方式を提案し、水資源の利用効率及び地域の持続可能性を増大させることです。アジア地域における地下水管理政策のレビュー及び地下水ガバナンス制度の構築に力を入れるとともに、水質汚濁防止や排水管理に関する能力開発やパイロットプロジェクトの推進にも着目しています。また、水・エネルギー・食糧の安全保障に関する連関研究も同時に行っています。

    また、研究活動だけでなく、世界水フォーラムやアジア水環境パートナーシップに代表される地域知識プラットフォームへの参加や、アジア太平洋水フォーラムの水知識ハブネットワークへの積極的な関与により水資源に関する知識の蓄積と普及にも貢献しています。

    アジア水環境パートナーシップ: Water Environment Partnership in Asia (WEPA)
    アジア太平洋水フォーラム: Regional Water Knowledge Hub for Groundwater Management (GW-KHub) (英文)


    生物多様性

    本研究では、自然の恵みを持続可能な形で利用及び保全していくための政策を立案・推進することを目指しています。特定の研究テーマとして、生態系サービスの価値評価、生態系勘定の政策枠組み調査、生物多様性条約(CBD)の効果的な実施に向けた途上国の能力開発活動の評価、企業や製品ライフサイクルによる生態系サービスへの影響評価指標の開発、日本企業が自身の影響を管理するための行動計画立案、及び生物多様性への影響を代償する(生物多様性オフセット)ための効果的な政策研究及びガイダンスの策定などを扱っています。

    また、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)との協力のもと、社会生態学的生産性ランドスケープの持続可能な利用の有効性に関する分析や有効性の評価のための指標やガイダンスの策定などを行っています。生物多様性と生態系サービスの持続可能な利用に向けた研究成果や政策提言は、CBDや生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)などの国際的な政策プロセスにおいて発信していく予定です。

    1. 2013年度SATOYAMA保全支援メカニズム(SDM)パンフレット(6.5MB)

    土地・水・食物・エネルギー統合政策を通じた人々のレジリエントな生活に関するシンセシス研究

    本研究では、アジア太平洋地域で問題となっているエネルギー作物生産、食糧生産、水資源確保、そして森林保全の間での土地利用に関する競争を対象に、次の2つの研究を実施します。(1)バイオエネルギー政策が実施され生産がすでに進んでいる国(タイ)と発展段階にある国(ネパール)の比較分析:土地生産性、人々の生活、環境との関わり、それらに適した技術などの観点からのバイオエネルギー原料に関する総合的な評価。(2)アジア太平洋諸国の統合的な自然資源管理アプローチの取り組み状況に関するレビュー:土地と資源に関する競争の現状、現存の国家自然資源管理モデルを通じて土地と資源に対する関心がどのように生じているのか、そして対象地域における斬新的な自然資源管理の統合的アプローチに関するレビュー。以上の統合研究によって、アジア太平洋諸国が直面している問題を明らかにし、経済発展と資源保全の双方に貢献する自然資源管理モデルの提示が期待されています。


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