グリーン経済:研究概要

経済発展が目覚ましい反面、依然として貧困が存在するアジア太平洋地域において、グリーン経済領域は、持続可能な開発と貧困根絶の文脈におけるグリーン経済への移行に貢献します。グリーン経済には、経済成長と資源利用のデカップリング、グリーンセクターやブラウンセクターの変革のための官民投資、先進国から開発途上国への技術移転、革新的資金メカニズムを通じた生態系保全への投資といった重要な課題があります。本研究領域では、マクロ経済モデルや計量経済、地理情報システムなどの定量的手法を用いて、グリーン投資やグリーン雇用、エネルギー市場統合、自然資本の経済価値評価などの政策分析を行い、グリーン経済への移行に向けた変革を促す効果的な政策オプションを提案していきます。

2050低炭素ナビ

福島の原発事故以降の日本では、適切なエネルギーミックスの選択や2050年までの温室効果ガスの80パーセント削減目標などにより、エネルギー政策が岐路に立たされています。2050年に向けて日本は、安全で安定、かつ低炭素なエネルギー供給を保持しつつ、経済を変革させる必要があるでしょう。この取組を進めるため、IGESは国立環境研究所と共同で、環境省や英国エネルギー・気候変動省の支援を受けながら、排出削減目標達成の様々なオプションを評価するための2050パスウェイ・カリキュレーターを開発しています。このツールは、元々英国で開発されたものですが、ユーザー自身が排出削減の道筋とその影響を実際のデータを用いて見ることができる使いやすいモデルです。パスウェイ・カリキュレーターは、エネルギーミックスと排出削減オプションの基礎的情報を提供することで、より広くの市民からのアクセスやフィードバックを得ることを可能にしてくれます。

   [関連リンク]
  1. 2050低炭素ナビWebツール
  2. 日本版2050パスウェイ・カルキュレーター (通称:2050低炭素ナビ) Webツール、Webサイトを公開
    (2014年7月22日)
  3. Trial workshop of the Japan 2050 Low Carbon Navigator (2014年5月12日)
  4. プレスリリース:日本版2050パスウェイ・カリキュレーター(通称:2050低炭素ナビ)の開発について
    (2014年5月12日)
  5. IGES and DECC organise the Japan 2050 Calculator Training Programme
  6. DECC 2050 Pathways Calculator
  7. My 2050 Web Tool
  8. DECC 2050 Pathway
  9. 2050 Calculator Wiki
グリーン経済への企業イニシアティブ

低炭素社会の構築に向け、技術イノベーションの担い手であり、かつ政策形成に大きな影響力を有する産業界、企業の意欲的な関与は極めて重要です。本研究ならびに関連活動では、気候政策の導入における企業の役割や、グリーン経済実現に対する具体的戦略を検討します。具体的には、先進企業のネットワークである日本気候リーダーズ・パートナーシップ等との連携を通じ、企業視点を踏まえた政策提案、グリーン経済の実現に資する実質的なビジネスモデルの提案(緑の贈与等)、実践活動を行います。

   [メディア掲載]

再生可能エネの投資促進へ-子や孫に「緑の贈与」を
植田和弘・松尾雄介  日本経済新聞2013年5月13日朝刊21面

J-CLP Website »

グリーン投資とグリーン雇用
«グリーン投資»

グリーン投資はグリーン経済への移行を促す重要な手段です。非持続的なエネルギーや資源に支えられた従来の経済やインフラ構造を抜本的に変革させるためには、グリーンセクターやブラウンセクターの変革に対する官民投資が極めて重要です。このプロジェクトでは、グリーン投資の経済や雇用、環境に対する影響の評価を通じて、アジア太平洋地域の国々におけるグリーン投資を促進する現在や将来の政策や制度を比較し、グリーン投資に対する政策を支援していきます。

«グリーン雇用»

経済や起業、雇用市場を持続可能で低炭素な方向へと変革させる上で、グリーン雇用の促進は重要な課題です。国際労働機関(ILO)とIGESは覚書を締結し、アジア太平洋地域の国家・地域レベルでの環境・経済・雇用のリンク、そして気候変動や他の環境政策の雇用や社会的側面について研究を実施していきます。現在までに、グリーン雇用を促進するための国家政策を支援する目的で、フィリピンやマレーシア、インドネシアにおいて既に調査を実施しています。

ILO-ROAP Green Jobs Website »

自然資本の価値

生態系と生物多様性は、食糧や水など私たちの生活に必要不可欠な資源を提供してくれるだけでなく、気候の調節や水の浄化、自然災害の緩和、レクリエーションの機会など様々なサービスを提供してくれます。この生態系の破壊や生物多様性の劣化を世界的に止めていくためには、その価値を可視化し、意思決定に反映させていく必要があります。このプロジェクトでは、自然共生型社会を構築していくため、地理情報システムを用いて生態系サービスを定量的に評価し、官民の資金を動員するための効果的な政策オプションを提示していきます。

   [出版物]

水・エネルギー・食糧のネクサス

人口の増加や経済的な豊かさを持続させ、数百万の人々の水や衛生、現代のエネルギーへのアクセスを支援し、栄養失調を克服させるためには、水やエネルギー、食糧の安全保障が不可欠です。水不足や気候変動、食糧危機などの様々な課題に直面している現在、非持続的な成長モデルや資源制約に取り組み、基本的サービスへのアクセスを保障するためには、ネクサス(繋がり)という視点での思考や行動が必要です。水・エネルギー・食糧のネクサス研究では、それぞれの繋がりに関するより良い理解を提供し、地球の容量の中での持続性を犠牲にすることなくニーズに応えられるように、互恵的な対応やトレードオフを明確化して、統合的な政策決定を支援することを目指します。本プロジェクトは、国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で実施します。

   [出版物]

持続的な資源利用

世界全体としての持続可能な開発を進めるためには、生存基盤を提供している生態系サービスを持続可能な範囲で利用しつつ、富めるものの過剰消費と持たざるものの過少消費の両方を解決するという難題に取り組む必要があります。ひとつの重要な視点は、これらの環境破壊が、輸出入される製品に伴うものでなく、生産国側の責任として考えられているということです。このような課題に効果的に対応するためには、資源消費に伴う環境影響・健康影響を資源採取から製造・消費、さらにリサイクル・廃棄にいたるライフサイクル全体について定量的に評価する手法・指標の開発が重要です。本研究では、製品使用に伴うライフサイクルにわたる環境影響の定量的評価手法を開発し、3R政策を含む持続可能な資源利用政策の便益の見える化に貢献することを目的としています。また、グローバルなサプライ・チェーンの観点から排出削減や資源利用効率改善について取り組むため、貿易に伴う炭素排出や一次資源などを、多地域産業連関モデルを用いて計算します。本プロジェクトは環境省環境経済の政策研究の支援のもとで実施されています。

持続可能性と幸福度の指標

指標とは、現在の状況を評価し、将来の目的を設定するためのものです。過去数十年間、私たちがGDPというひとつの指標を最大化することに注力してきた結果、現在、気候変動や生物多様性の劣化などの環境問題、不公平や格差などの社会的課題が山積しています。2000年代後半以降、GDPに過度に傾斜した社会から、持続的で幸福な社会へと時代を変革させるため、「Beyond GDP」や「包括的な富指数」などの国際的な取組が進められています。この政治的な動向に沿うように、本プロジェクトでは、社会の持続可能性や幸福度を評価するためのひとつの統合指標の開発を目指します。

LCS-RNet and LoCARNet

IGESはLCS-RNetおよびLoCARNetの事務局機能を担っています。LCS-RNetはG8諸国の低炭素政策に関わる研究者や研究機関のプラットフォームであり、LoCARNetはそのアジア版です。LCS-RNetとLoCARNetは、研究者やステークホルダー間の連携を促し、研究成果を政策担当者に伝えることで、低炭素社会への移行のための科学に基づく政策を支援します。これら二つのネットワークは、先進国および開発途上国の研究者の能力をさらに向上させるため、将来的にはひとつの低炭素プラットフォームとして統合されることが期待されています。

LCS-RNet/LoCARNet Website »

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