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■気候変動に係る日中政策研究ワークショップを北京で開催
2012年1月18日
 
財団法人地球環境戦略研究機関(IGES、神奈川県葉山町 理事長 浜中裕徳)は、環境省からの請負業務の一環として、能源研(中国国家発展改革委員会エネルギー研究所、ERI)とともに、2012年1月6日に中国・北京において、両国の低炭素社会構築に向けた取り組みの現状と今後の見通し及びCOP17の結果を踏まえた、日中の今後の政策研究協力の在り方等について話し合う日中政策研究ワークショップ「IGES-ERI政策研究会合:低炭素型発展へ向けて」を開催しました。

本会合には、我が国からは環境省とIGES、中国からはERI、国家可再生能源中心、北京工業大学、清華大学等の各研究所・シンクタンクに加え、その他、世界資源研究所(WRI)の研究者ら約30名が参加しました。

IGES-ERI政策研究会合は2005年度より継続的に行われており、今回で6回目となります。本会合では、昨年末に南アフリカ・ダーバンにて行われた、第17回気候変動枠組条約締約国会合(COP17)の結果を踏まえた上で、3つのテーマ(日中および主要国における国内気候変動政策の最新動向、将来の気候変動対策の展望、今後の国際交渉の促進に向けて研究者に期待される役割及び本ワークショップを含む日中の政策研究協力のあり方)について、政策担当者や研究者による率直かつ活発な意見交換が行われました。

資料
「IGES-ERI政策研究会合:低炭素型発展へ向けて」~2013年以降の気候変動に関する国際枠組み及び日中の政策研究協力の在り方について~ 概要


 

【本プレスリリースに係る問合わせ先】
気候変動グループ 副ディレクター・主任研究員 田村堅太郎
Email: cc-info@iges.or.jp


IGES 広報担当:土井 恵美子
Email: iges@iges.or.jp
Tel: 046-855-3720

(財)地球環境戦略研究機関(IGES)
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3720 / Fax: 046-855-3709
ホームページアドレス: http://www.iges.or.jp/



「IGES-ERI政策研究会合:低炭素型発展へ向けて」
~2013年以降の気候変動に関する国際枠組み及び日中の政策研究協力の在り方について~
概要


1. 開催概要


日程:2012年1月6日(金)
会場:中国・北京市 职工之家(China People's Palaceホテル)
主催:財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、能源研(中国国家発展改革委員会エネルギー研究所、ERI)


2.対話の概要


開会の挨拶

  • IGES 浜中裕徳理事長:COP17ダーバンでの合意は、2℃目標達成に必要な排出量と現在の削減プレッジの野心度との間のギャップ(ambition gap)を埋め、より早い時期に温室効果ガス排出を頭打ちにするための最大限の緩和努力を、全ての条約締約国が確実に遂行できるようにあらゆる手段を模索する必要性を強調している。このギャップを埋めるためには強力な政策だけでなく、政策立案者と研究者の間のより緊密な連携が必要である。
  • ERI 姜克隽研究員:ダーバン合意に基づいた2020年以降の気候変動政策枠組みの策定までには、あと数年の限られた時間しかないことや、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書が2014年に公表されることも相まって、気候変動政策研究への関心はこの数年で一層高まるであろう。

第1セッション:日中およびその他主要国における気候変動政策の最新の動向

本セッションでは、中国側からは第11次五カ年計画の結果および第12次五カ年計画の詳細が紹介され、日本側からは京都議定書第一約束期間の目標の達成状況、地球温暖化対策税等の温暖化対策の検討・実施状況、東日本大震災・福島原発事故を踏まえた新たなエネルギー政策・温暖化対策の検討過程および各国の排出量取引制度の動向に関する比較研究の結果が紹介された。

  • 中国が第11次五カ年計画(2006-2010)においてエネルギー強度を5年で20%低減させると発表した際、国際社会はその実行性に疑問の声を上げた。しかし、目標の達成によってそれらの声は次第に消えていった、との見解が中国人研究者により示された。
  • エネルギー強度およびCO2強度をそれぞれ16%、17%削減することを盛り込んだ第12次五カ年計画の初年度に当たる2011年のエネルギーおよびCO2強度の削減率は目標値を下回った。しかし、このような低調な滑り出しは五カ年計画ではよく見られることであり、心配には値しない、という見解が中国人参加者により示された。
  • 第12次五カ年計画の目標達成には、引き続き大規模企業の省エネと非効率な工場の閉鎖に依存することになるが、同時に排出量取引制度等の新しい政策手段も段階的に取り入れていくことが、中国人研究者から示された。
  • 日本の政策担当者からは、新しいエネルギー・環境戦略が今年夏頃を目途に策定予定であること等が紹介された。
  • 東京都の排出量取引制度(ETS)などの経験を通じ、排出データ収集に必要な時間の見積や参加者の準備態勢の段階的な引き上げなど、ETSの設計に関する有意義な教訓が得られていることが、日本人研究者から示された。

第2セッション:将来の気候変動対策行動の展望

本セッションでは、日中の最新の温室効果ガス排出シナリオ、中国における再生可能エネルギーの普及、そして気候変動対策における途上国支援の測定・報告・検証(MRV)に関する最新の研究成果が報告された。

  • 現在、中国国内の複数の研究機関にて中国が2025年までにCO2排出をピークアウトすることが技術的・経済的に可能か分析していることが、中国人研究者によって紹介された。
  • 中国では再生可能エネルギー、とりわけ風力発電の普及は、どのエネルギーモデルも予想しなったペースで進んでいることが紹介された。同時に、風力発電は投資の割に発電量が少ないという批判があることも紹介された。また、第12次五カ年計画では再生可能エネルギーの受け入れに向けた電力網整備のための大規模な投資を行うことも示された。これらの状況に鑑み、平均1500万kW/年の風力発電容量の増加は技術的に可能だろう、との見解で中国側の研究者らは一致した。
  • 気候変動対策におけるMRVについて、気候変動枠組条約(UNFCCC)の下では気候変動対策行動のMRVばかりが注目されるが、途上国支援(資金、技術、および能力向上)のMRVの重要性が増している。交渉担当者は行政コスト・運用コストの観点からも、途上国支援のMRVの有効性・効率性に注視すべきである、との見解が日本人研究者から示された。
  • 福島原発事故の影響により原子力利用の減少が想定され、CO2排出増加が見込まれる。しかし、その場合でも国内の省エネ政策強化及び先進技術の導入加速、国外からの排出クレジットの購入によって2020年に25%の削減も可能であるとの研究報告が日本人研究者により示された。

第3セッション:今後の国際交渉に向けて研究者に期待される役割及び日中の政策研究協力のあり方

本セッションでは、2020年以降の気候変動枠組みが形成されるであろう今後3-5年の間に、日中の研究者が行うべき研究の方向性および研究者が提供すべき知見について議論が行われた。

  • COP17ダーバンでの会議では将来の気候変動枠組みへ向けて大きな進展を見せた。しかし、2℃目標との整合性やすべての国に適用される単一の枠組みの下での義務のあり方など重要な問題がまだ解決されていない、との見解が参加者の間で共有された。また、各国に目標レベルを上げる動機づけを与える点から、科学の重要性が強調された。
  • 今後数年の間に、各国において短中期的な低炭素ロードマップの策定が必要となるが、研究者は交渉の情勢に左右されず、2050年までを見据えてより長期的な視野から研究を行い、積極的に提案を行っていく必要がある、との見解が参加者の間で共有された。
  • 各国で低炭素ロードマップを策定するに当たり、これまで以上に民間部門を巻き込む努力が必要である、また各国の中央政府と地方政府の財政関係等の制度が主要な政策分野に与える影響を考慮すべきである、との見解が中国人参加者から示された。
  • 最後に、低炭素社会の実現や将来枠組みにおける野心的な排出削減目標の設定方法等について研究者からの積極的な提案が必要であることを確認するとともに、今後IGES、ERIの連携強化に向けて具体的な研究分野の絞り込みを検討していくこととした。

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