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■COP13及びCOP/MOP3におけるIGESサイドイベント成果報告
2007年12月12日
(財)地球環境戦略研究機関
(財)地球環境戦略研究機関(IGES、神奈川県葉山町、理事長 浜中裕徳)は、インドネシア・バリで開催中の国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)及び京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)において4つのサイドイベントを開催し、2013年以降の将来枠組み、適応問題、CDM/JI(クリーン開発メカニズム及び共同実施)等についてIGESがこれまで実施してきた研究結果に基き、また、IGESが事務局として務めてきたアジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)等での対話を活用し、さまざまな政策提言及び意見交換を行いました。

1.「2013年以降の気候変動枠組み:アジアの優先事項と地球規模の利益の調和」 12月7日(金)
(The Climate Regime Beyond 2012: Reconciling Asian Priorities and Global Interests)
議長: 浜中 裕徳(IGES理事長)

IGESが本年中国及びインドで実施した「2013年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話」で議論された4つの課題―(1)将来枠組みにおけるセクター別アプローチの役割、(2)低炭素技術の開発と技術移転の促進、(3)気候変動への適応策、(4)コベネフィット(温室効果ガス削減とそれが開発にもたらす相乗便益)の促進-について、同対話に基づく政策提言を報告しました。

IPCCパチャウリ議長やアジア各国政府及び国際機関・研究機関の代表を迎えてのパネル討論では、アジア途上国の開発を優先したいという意向と地球規模の気候変動への取り組みを強める動きとの間のバランスと協調を図るための方策や、先進国と途上国の視点の相違を埋める手段について活発な議論が行われ、その中で以下のような意見が出されました。

セクター別アプローチは有効な削減手段であるが、京都議定書の絶対目標を代替すべきではなく、またセクター毎の統一的な排出強度(生産一単位当たりの排出量など)目標の設定が必ずしも容易でない。また、国際・国内レベルでどのように制度化するのかを明らかにする必要がある。
低炭素技術について、長期の投資を可能にする明確な政策や低炭素技術の市場創設が必要で、特に日本の技術や成長モデルがアジアで果たす役割は大きい。
現行の京都議定書では必ずしも考慮されていないコベネフィットについては、評価基準の策定などを進める必要がある。特にCDMについては、開発への便益がより多くもたらされるように改善する必要がある。


2.「アジアにおける気候変動への適応:主流化と資金問題」12月10日(月)

(Financing and Mainstreaming of Adaptation to Climate Change: Priorities and Prospects)
議長: 浜中 裕徳(IGES理事長)

本年IGESが実施した気候変動への適応策を各種開発政策に組み込む「主流化」に関する会合と、インドと中国で実施した将来枠組みに関する非公式対話の結果を踏まえ、適応問題における優先事項ならびに途上国において適応策を実施するための資金確保の問題や主流化のための新たな方策について報告しました。

その後、アジアの各国政府代表者や国際援助機関の代表者によるパネル討論を行い、以下のような意見が出されました。

現在ある国際的な公的基金は途上国における適応ニーズを満たすには不充分であり、汚染者負担原則及び気候変動受益者(気候変動により利益を得る者)負担原則に基づく、新たな適応資金のメカニズムを創設することが望ましい。
ODAや国際援助を通じた適応主流化の努力は現在進められているが、適応のニーズやコストを評価する能力・手法を強化する必要がある。
適応の効果的な推進には広範囲にわたる利害関係者の協力が必要であり、民間部門、特に保険の役割は重要である。


3.「CDM人材育成支援の経験:CDMの国際ルールや国内ルールの改善は必要か?」 12月10日(月)

(Lessons Learned from CDM Capacity Building: Is There a Need to Reform International and Domestic Rules?)
議長: 西岡 秀三(IGES研究顧問)

これまでIGESが行ってきたCDMの人材育成支援事業やCDM事業調査の経験から得られた知見を基に、現行のCDMルールに対する改善案を提示しました。続いて、インドネシア、カンボジア、中国、タイ、フィリピン各国政府のCDM担当者及び大学機関の代表より、各国におけるCDMの現状や評価、そしてCDMルールの改善案についてコメントを受けた後、活発な議論が行われ、その中で以下の点のような意見が出されました。

CDMの追加性(CDMからの資金拠出がなければ、プロジェクトが実施できないこと)を証明する際に用いる投資分析手法に関しては、今後ともさらなる改善が必要である。
CDMプロジェクトの持続可能な開発への貢献の評価手法については、ホスト国における評価手法を踏まえながらも、さらなる改善を行っていく必要がある。
クレジット発生量の少ない小規模プロジェクトを促進していくための仕組みとして、登録費用の低減やプロセスの簡素化等の国際ルールの改革、個々のプロジェクトをまとめて一つのCDMプログラムとするプログラムCDMのさらなる推進等が重要である。


4.「気候変動に関するAPFED政策対話」12月8日(土)
(APFED Policy Dialogue on Climate Change)

アジア太平洋地域の有識者で構成される「アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)」は、効果的な気候変動に関する政策形成・実施の支援を目指し、アメリカ、中国、インドをはじめとする主要国の専門家や政府・NGO代表者等との対話を実施しました。 APFEDメンバーからは、エミル・サリム元インドネシア環境大臣、キム・ミョンジャ元韓国環境大臣、シエリト・ハビト元フィリピン国家経済開発庁長官、パルベス・ハッサン元IUCN法律委員会議長や森島昭夫IGES特別研究顧問等が参加し、気候変動に関する政策課題について討議を行いました。

また、1997年の京都会議(COP3)で京都議定書が採択されて10周年にあたることから、COP3での交渉を掌った大木浩元環境庁長官・COP3本会議議長を始め、ラウル・エストラーダ元アルゼンチン大使・COP3全体委員会議長、マイケル・ザミット・クタヤール元国連気候変動枠組条約事務局長、浜中裕徳IGES理事長等が、京都議定書の交渉過程とその後の実施状況、さらには、2013年以降の気候変動政策の枠組み作りについて議論を行いました。

3つのセッション、3時間半に及ぶ議論では、多岐にわたる問題が取り上げられ、本会合に参加したAPFEDメンバーは、メッセージを採択し、今後、気候変動問題についてさらなる知見の共有や政策提言を行っていくことを表明しました。 本会合で注目された論点及び提言は以下の通りです。

気候変動対策を効果的に実施するためには、今後アジアがますます重要な役割を果たさなければならない。
アジアには急速な経済成長を遂げる大国がある一方で、依然として貧困問題が存在し、また、農業国や島嶼国・沿岸国、氷河・凍土山岳地帯など、気候変動に脆弱な国・地域が多数存在するという多様性に十分配慮すべきである。
IPCCの気候変動将来予測(50-100年)、主要国の将来的温室効果ガス削減目標(30-50年)、更には国内発展計画(5-10年)などの時間軸に整合性がなく、その改善が政策の実効性向上に有用と考えられる。
京都議定書及びこれに位置づけられたクリーン開発メカニズム(CDM)等は、温室効果ガスの排出削減を目的としていたが、CDMは中国やインドなど急速に経済が発展している国に集中し、これらの国の総排出量は急速に増加している現状があり、本来の目的実現に向け、その運用・仕組みを改善すべきである。
排出枠の設定と排出量取引(キャップアンドトレード)をいかに幅広く効果的に実施していけるかが、今後の重要な課題である。
金融・投資をエネルギー効率向上や温室効果ガス排出抑制の実現に適うような方向に転換していくことが重要で、そのための一定の介入政策は検討に値する。
2013年以降の枠組みは、全ての国が参加し、途上国を含めた主要排出国が温室効果ガス削減の責務を負うべきである。
効果的な気候変動対策の実施にあたっては、能力開発の推進が重要であり、市民や市民社会組織の参加、教育・啓発活動、報道、情報公開・共有などが更に促進されなければならない。


 

【本件に関する問合せ先】
(財)地球環境戦略研究機関(IGES)
■気候政策プロジェクト
研究員 内田俊博
Tel: 046-855-3819

■能力開発と教育プロジェクト
マネージャー 小林正典
Tel: 046-855-3875

■IGES広報担当:城戸めぐみ
Email: iges@iges.or.jp
〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口2108-11
Tel: 046-855-3734 / Fax: 046-855-3709

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