
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、日本政府のイニシアチブと神奈川県の支援により1998年に設立されました。自然と共生する持続可能でレジリエントな社会への変革を先導する「チェンジ・エージェント」として、企画から実施にいたるすべての過程で多様なステークホルダーとの協働に重きを置いた戦略研究を行っています。
現在、世界では気候変動、生物多様性の損失、汚染の「トリプル・クライシス」が加速度的に深刻化しています。にもかかわらず、昨今の地政学的変化は、これらの危機に対する国際社会の関心を希薄化し、協調した取り組みの停滞や後退が危惧される状況にあります。地球システムの安全で公正な境界内ですべての人々のウェルビーイングが向上する社会の実現が危ぶまれているといっても過言ではありません。
こうした中、私たちが直面する環境・社会・経済の諸課題に同時に対処する「シナジー(相乗効果)」の重要性が高まっています。例えば、再生可能エネルギーは気候変動対策のみならず、エネルギー自給にも貢献します。重要鉱物のリサイクルは環境負荷の低減に加え、経済安全保障の観点からも有効です。IGESは、気候変動対策と持続可能な開発目標(SDGs)のシナジーに関する国際的な議論や国連報告書に専門的知見を提供してきました。また、アジア太平洋地域における優良事例をまとめた報告書を国連機関等と共同作成するとともに、ローカルな現場での実装を支援するなど、あらゆるレベルにおいて、シナジー促進に積極的に取り組んでいます。
2年目を迎えた第9期統合的戦略研究計画の下、持続可能な社会への変革につながる実践的な研究活動を一層推進してまいります。地球規模の諸課題を取り巻く状況が大きく変化する中、世界のニーズに的確に応える「サステナビリティ・シンクタンク」としての役割を果たしていく所存です。
2026年 7月
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
理事長 武内 和彦